島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
島袋朋乃先生
産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。
生理期間中には、体調が普段とは大きく異なり、戸惑ってしまうこともあると思います。生理のときには、体がいつもとは違う状態になっているからです。
自分の体と上手に付き合うために、生理の間は避けておいた方がいいことを見ていきましょう。
生理がくると、生理痛の他に、気分が沈む人も少なくありません。少しでも気持ちを前向きにしようといろいろなリラックス方法を試してみる人もいると思います。
しかし、何でもいいというわけではなく、これはあまりおすすめできない……というリラックス方法もあるのです。
最近、サウナを利用する人が増えましたが、生理中のサウナは避けておいた方がよさそうです。
元々サウナでは、脱水対策のための水分補給が欠かせないとされているのですが、生理中は脱水症状が起こりやすくなる上、経血が出ているために鉄分不足で更に体調が悪くなるリスクもあるのが一番の理由です。
脱水症状が危険なことは言うまでもありませんが、鉄分不足は立ちくらみをはじめとした不調のもとになってしまいます。
サウナのなかで立ちくらみを起こすと、リラックスどころではなく、体に負担をかけてしまうことになります。
また、サウナを提供している施設自体が、生理中の利用を断っている場合もあります。生理中のサウナ利用は体調不調のリスクがあるだけでなく、経血で施設の設備が汚れてしまう可能性があるからです。
ホットヨガも、脱水や貧血のリスクに加え、ウェアの締め付けで体調が悪くなってしまう可能性があり、あまりおすすめできません。
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お家でのお風呂や、旅先で入る温泉など、湯船につかることをリラックスの手段にしている人も多いことでしょう。
普段であれば、温かいお湯は血行をよくしてくれますし、気分も上向きになり、いいリラックス方法といえます。寒い時期の温泉はほっと一息つけていいものですよね。
一人でお風呂を楽しむ分には問題ないのですが、多くの人と同じ湯船につかる温泉となると、事情が変わってきます。
生理中は子宮内膜が剥がれ落ちて出血している状態なので、多くの人が利用する温泉のような場所では、粘膜を介して感染症をうつされてしまうリスクや、血液が他人に触れることで相手に感染症をうつしてしまう可能性があります。
入浴中に経血が漏れ出てしまうことはあまりないのですが、お湯から出た瞬間に経血が出てしまうことはあります。経血が漏れ出てしまうのはマナーとしてもよくないですし、何より本人としてもいい気持ちがしないことでしょう。前述のサウナ同様、温泉側が生理中の利用を断っている場合もあります。
そうはいっても、心待ちにしていた温泉旅行を思いっきり楽しみたい気持ちもあるでしょう。
そんなときは、生理が被りたくない日程の前の生理の直後から生理予定日の14日前くらいまでに婦人科を受診して、温泉旅行と生理の期間が被らないように医師に相談してみるのも1つの手です。ギリギリで受診してしまうと、うまく生理をずらせなくなってしまいます。
適度な量であれば、飲酒もリラックスになります。美味しいお酒と食事を信頼できる人々と囲む時間は、日々のストレスから解放してくれることもあるものです。
しかし、いくら魅力的なお酒の席でも、生理前から生理中にかけては、少し注意した方がいいでしょう。
この期間にお酒を飲むと、いつもより酔いやすくなり、二日酔いや寝つきが悪くなるなどの嬉しくない症状のリスクが高まってしまうのです。また、アルコールには脱水を起こす作用があることも、症状を悪化させる一因となりえます。
「せっかくのクリスマスなのだから飲みたい」「忘年会や新年会は欠席したくない」ということもあるでしょう。
そのような場合は、いつもより少なめに飲むか、ノンアルコールのドリンクを頼むのがおすすめです。
最近ではノンアルコールドリンクの種類が充実しているお店も増えてきていますし、お酒を飲まなければその場を楽しめないわけではありませんよね。
また、生理前から生理中にかけてイライラして、お酒を飲んで発散することを習慣化させるのは、あまりおすすめできません。
生理前から生理中の気分の浮き沈みが激しく、自分では扱いにくいと感じたら、婦人科や心療内科で医師の手を借りてみましょう。
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体の調子が普段とは異なっている生理中でも、普段と変わらない生活をしようと思う人もいるでしょう。
ですが、生理中の体にはよくないこともあるのです。生理中の体を労わるために避けた方がいいことを紹介します。
「痩せたい」「体型をキープしたい」との思いでダイエットに励むこと自体は悪くありません。
目指す体型のためにダイエットをするのは、誰もが持っている自由です。ただ、生理中にはダイエットの効果が出にくいので、生理中に激しいダイエットをするのはおすすめしません。
生理周期は女性ホルモンのバランスによってできており、体は女性ホルモンの影響を受けて変化していきます。
「生理前にお腹が空く」「気分が沈む」といった症状は女性ホルモンの作用です。
この女性ホルモンの影響を見ていくと、排卵後から生理期間は体が妊娠に備えて栄養をたくわえようとするため、痩せにくく、体調不良にもなりやすいことがわかります。
せっかく食事制限や運動をがんばっても、この期間にはダイエットの効果が出づらいばかりか、生理不順などのさらなる不調を招いてしまうこともあるのです。
痩せにくい時期には食事制限やハードな筋トレなどの激しいダイエットは控え、体重を維持する程度を意識しておきましょう。
逆に、生理後から排卵までの約2週間は痩せやすい時期なので、この時期にダイエットをがんばってみると、効果が期待できます。女性ホルモンのはたらきを意識して、無理ないダイエットのしかたを考えてみましょう。
エステサロンやクリニックでの脱毛に通っている人のなかには、「生理と予約日が被ってしまったらどうしよう」と不安に思ったことのある方もいることでしょう。
まずは通っているエステサロンやクリニックに連絡し、対応を確認するのが大事です。
エステサロンでは生理中の脱毛を断っているところがほとんどで、クリニックでの医療脱毛では、VIO(デリケートゾーン)とお尻を除く部位の脱毛であれば施術可能とされていることが多いです。
生理中の脱毛には、痛みが強くなる、不調を起こしやすい、感染のリスクがあるなど、おすすめできない理由があるためです。
クリニックでの医療脱毛であれば、VIOとお尻を除く部位は生理中でも施術可能ですが、痛みが強くなり、体調不良を起こしやすい時期に施術を受けるのは避けた方がいいでしょう。
クリスマスデートの際など、生理中でも性交渉をしたいときがあるかもしれませんが、生理中の性交渉にはリスクがあります。
感染症のリスク、子宮内膜症のリスク、そして妊娠のリスクです。
生理中は膣や子宮口の感染症への抵抗力が下がってしまうため、生理中の性交渉によって感染症をうつす、うつされる可能性があります。また、経血の逆流で子宮内膜症を引き起こす可能性もあるのです。
「生理中は妊娠しないから、避妊をしなくてもよい」と言う人もいますが、これは誤りです。
生理中の性交渉であっても、ピルの服用やコンドームの適切な使用がなければ、妊娠の可能性があります。
また、性交渉による経血の逆流の影響で子宮内膜症を発症するという説があり、子宮内膜症を発症すると生理痛が重くなったり、将来不妊症になってしまうこともあるので、生理中の性交渉はやめておいた方がいいでしょう。
大切なイベントと生理が重なりそうなときは、ホルモン剤の服用による月経移動がおすすめです。月経を避けたい日から1カ月前、遅くとも2週間前には受診するようにしましょう。
多忙さのなか、試験前や仕事が大詰めになっているシーンでは、カフェインを多く含む飲み物、コーヒーやエナジードリンクで眠気覚ましをしたくなることもあるかもしれません。生理中はカフェインでの眠気覚ましを避けることをおすすめします。
カフェインは血管収縮作用があり、血行を悪くしてしまいます。そのため、生理痛を悪化させてしまうこともあります。
コーヒーや紅茶を一杯飲む程度なら構いませんが、眠気覚ましにと大量に飲んだり、カフェインが多量に含まれているエナジードリンクを飲んだりするのはやめた方がいいでしょう。
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生理の間、少しでも快適に過ごすために、生理中に避けた方がいいことを見てきました。
基本的には体をあたため、バランスのいい食事をして、体を休めることが大事です。
生理中は、何もかもがいつもとは違います。そのようなときには焦らず、体を労わって過ごすといいでしょう。
【参照】
飲酒とエストロゲンとの関係|世田谷区の産婦人科なら冬城産婦人科医院この記事を書いた人
1995年生まれ。2020年にフリーランスのライターになりました。障害やセクシュアルマイノリティなどに関するコラムやインタビュー記事執筆をメインに、医療や科学に関する記事も執筆しています。 大学で生物学を専攻していたこともあり、医療や科学に関心があります。自分自身がノンバイナリーであるため、ジェンダーについてもよく考えています。