低用量ピルを飲み忘れは何時間まで大丈夫?後で気づいた場合の対処法

公開日 2022-02-17 更新日 2022-02-17

記事監修医

六本木ヒルズクリニック

一倉絵莉子先生

日本産科婦人科学会専門医、一般社団法人日本女性医学学会会員。 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。 現在は六本木ヒルズクリニックにて診療を行っている。

「ピルを飲み忘れたから妊娠するかも……」「低用量ピルを飲み忘れたときに限って、性交渉してしまった」「妊娠してしまうのでは?」と不安に感じますよね。
実は、ピルを飲み忘れたからといって、必ずしも妊娠につながるわけではありません。

この記事では、ピルを飲み忘れても何時間まで大丈夫かを説明します。飲み忘れに気付くまでの時間や日にちによって異なる対処法についても紹介するので、まずは落ち着いて自分のパターンを確認してみましょう。

低用量ピルの正しい飲み方

そもそも低用量ピルとは、避妊や生理痛、月経前症候群(PMS)の緩和に効果的なお薬です。

ピルには女性ホルモンが含まれており、卵子の発育や排卵をとめて、避妊効果や生理痛を和らげる効果があります。生理や排卵は女性ホルモンの変化で起こるため、ピルを飲むことで生理周期をコントロールできます。

ただし、ピルが効果を十分に発揮するのは、正しい飲み方をしたときです。

多くのピルは4週間分を1セットとして処方され、毎日1錠ずつ飲みます。1〜3週目は実薬と呼ばれ、実際に効果をもったお薬です、3週目にセットされているのは偽薬で、ピルの成分は含まれていません。

なぜ成分が含まれていない偽薬を飲む必要がある?

「なぜ、ピルの成分が含まれていない偽薬を飲む必要があるの?」と思うかもしれませんが、4週目は休薬期間で、実際にピルを飲む必要のない期間です。
つまり1〜3週目はピルを飲む期間で、4週目はおやすみし、5週目からまたピルを飲み始めるのが正しい飲み方です。

しかし、4週目のおやすみ期間を挟むと、5週目の飲み始めがいつからか分からなくなってしまうことがあります。そこで、休薬期間も偽薬を飲み続けて飲み忘れを防ぐしくみです。

ピルの種類によっては、1〜4週目までの錠剤がシート状になっている場合もあり、飲み忘れが起こりにくくなっています。
ただし、ピルの種類によっては偽薬のない低用量ピルもあります。ピルの種類別の飲み方は、クリニックの指示に従ってくださいね。

低用量ピルを飲み忘れた場合の避妊効果

低用量ピルを避妊目的で飲む場合、飲み忘れると避妊効果が薄れる可能性があります。

ピルを飲んでいる人の1年間の避妊失敗率は0.3%で、コンドームの2%よりも下回っています。この数字は、正しい飲み方でピルを服用した場合の失敗率です。

日本産科婦人科学会によると、飲み忘れを含めた一般的なピルの服用では、避妊失敗率は8%と高くなっています。それでも、コンドームの一般的な使用による失敗率15%と比べると約半分です。

ただし、どれくらい避妊効果が下がるかは、飲み忘れた日数によって異なります。たとえば、1日分の飲み忘れで性交渉してしまった場合でも、一般的に避妊効果は下がりません。

2錠以上ピルを飲み忘れてしまった場合は、何週目に飲み忘れたかによって対応が変わります。2〜3週目に飲み忘れたケースでは、7日以上連続で服用していれば、緊急避妊薬(アフターピル)を飲む必要はないでしょう。

【パターン別】低用量ピルを飲み忘れたときの対処法

低用量ピルを避妊目的で飲む場合、飲み忘れた日数によって避妊効果が異なることは、すでにお話ししました。

「自分のパターンは大丈夫かな?」と不安ですよね。
ここでは、飲み忘れのパターン別に、ピルを飲み忘れたときの対処法を紹介します。

24〜48時間で気付いた場合

飲み忘れに気付いたのが前回の服用から24〜48時間の場合は、できるだけ早く飲み忘れた分を服用しましょう。また、次回分のピルも予定通りに飲むことが重要です。

たとえば、2月16日分を飲み忘れ、2月17日の服用前に思い出したときは、2月16日分を気付いた時点で飲みます。そして、2月17日分も時間通りに飲みましょう。つまり、1日に2錠飲むことになります。

48時間以内にピルの飲み忘れに気付いてすぐに服用した場合は、緊急避妊薬による対応は不要です。

飲み忘れが2回続いた場合

ピルの服用を2回続けて忘れてしまった場合は、気付いた時点で忘れた分の2錠を同時に飲みます。(ピルの種類により対応方法は異なりますので、医師の説明や添付文書を確認してください。)

ただし、飲み忘れた期間があると排卵してしまうことがあり、ピルの避妊効果が弱まってしまいます。2錠連続で飲み忘れた場合は、7日間連続で服用が続くまで、コンドームによる避妊が必要です。

その後は予定通り飲み続け、7日連続の服用が終わるとピルによる避妊効果が戻ります。

1週目に3錠以上飲み忘れた、または飲み始めが3日以上遅れた場合

3錠以上の飲み忘れは、生理が始まってしまっている可能性もあります。とくに1週目は前週が休薬期間で、3日以上飲み忘れると9日間ピルを服用していないことになるためです。

1週目に3錠以上の飲み忘れがあった場合や、飲み始めが3日以上遅れた場合は、ピルの効果は得られません。性交渉をする際は、コンドームでの避妊が必要です。

もし上記の飲み忘れがあり、ほかの避妊方法を使わずに性交渉をしてしまった場合は、クリニックへ相談したうえで、緊急避妊薬を検討しましょう。

2週目に3錠以上の飲み忘れに気付いた場合

最後の服用から3日経ち、3錠以上服用を忘れてしまった場合はすぐに1錠服用しましょう。その後は1日1錠ずつ7日間飲み続けます。

また、飲み忘れた期間が長くなるとピルの避妊効果が薄れるため、服用再開から7日間は性交渉を控えるか、コンドームを使用して避妊します。

3週目に3錠以上飲み忘れた場合

シートの3週目に3錠以上飲み忘れた場合は、飲み忘れた分のうち、直近の1錠をすぐに飲みましょう。その後は、通常通り毎日1錠ずつピルを服用します。

3週目に飲み忘れたケースでは、休薬期間を空けてはいけないことがポイントです。
偽薬つきのピルシートでは、偽薬を飲まずに次のシートの実薬を飲み始めます。偽薬のないピルシートなら、休薬期間を空けずに次のシートを飲み始めてかまいません。

偽薬を飲み忘れた場合

偽薬を飲み忘れた場合は、飲み忘れた偽薬を捨てて当日分1錠を服用します。偽薬にはもともとピルの成分は含まれておらず、飲み忘れても問題ありません

ただし、飲み忘れた偽薬を捨てずに次回分として飲んでしまうと、休薬期間が通常より長くなってしまいます。休薬期間が長くなると、実薬を飲み始めたときの避妊効果も弱まってしまうため、飲み忘れて余った偽薬は捨てましょう。

ピルを飲み忘れても慌てずに対処しよう!

低用量ピルを避妊目的で飲む場合、飲み忘れてしまうと一時的に避妊効果が弱まってしまうことがあります。ただし、「飲み忘れ=すぐに妊娠する」というわけではなく、飲み忘れた期間によって避妊効果の下がり方に差があります。

1〜2錠飲み忘れた場合は、飲み忘れたピルをすぐに服用し、その後は通常通り飲み続ければ問題ありません。

問題は、3錠以上飲み忘れてしまったときです。とくに1週目に飲み忘れた場合は、9日以上休薬期間が続いてしまうため、生理が始まってしまうことがあります。
もし、1週目に3日続けての飲み忘れが発覚し、その間にピル以外の避妊なしで性交渉をした場合は、緊急避妊薬が必要です。

万が一の場合でも、性交渉から72時間以内に緊急避妊薬を飲めば約80%の妊娠を防げます。慌てず、すみやかにかかりつけのクリニックに相談しましょう。

【参考】

日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン」
日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」
緊急避妊について – 日本産婦人科医会
望まない妊娠防止対策に関する総合研究「望まない妊娠を繰り返さないために」

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