1000万個以上の生理用品と健康教育を途上国へー グローバルな社会貢献で業界をリードするCora

公開日 2022-04-01 更新日 2022-05-27

エコな素材を使用したり、繰り返し使える商品作りなど、サステナビリティに取り組むフェムテックブランドが増えてきました。

今回ご紹介するアメリカ・サンフランシスコ発の生理用品ブランド「Cora(読み:コラ)」は、2016年の創業当初からサステナブルな取り組みに総力を挙げ、世界の生理の貧困をサポートする活動も積極的におこなってきました。最近リブランディングしたことで、さらに注目を集めているブランドです。

この記事では、そんなCoraの豊かな社会づくりに貢献する活動について紹介します。

途上国の生理の現状を知ったCEOが始めたブランド

Coraは、生理、尿失禁、産後ケアなどの女性の健康問題のサポート商品を販売するウェルネスブランド。
オーガニックコットン製にこだわったタンポン、ナプキン 、おりものシートから、洗って繰り返し使うことができる、吸水ショーツ、月経カップ、月経ディスクまで品揃え豊富です。

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出典:Period Care Specialist Cora Reveals Colorful Rebrand And New Wellness Products - Beauty Independent

「時代遅れの女性ケアカテゴリーに大きな変化を起こし、多くの人に快適さを提供しよう」というミッションのもと、Coraは誕生しました。

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出典:Ending Period Poverty: Interview With Molly Hayward, Founder Of Cora — The Good Trade

創業者のMolly Haywardさんは、ボランティアで行ったインドとケニアで現地の女性と会い、経済的な理由で清潔な生理用品を買うことができない人たちが、生理にどれほど悪影響を受けているかを知ることになります。

女性たちは、生理用品の代わりに、古い布切れ、新聞紙、動物のふん尿、樹皮などを使っていました。もちろんこのような代用品は、感染症や合併症のリスクをあげるなど、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)にも関わってきます。

「私はこの問題により深く向きあい始め、どれほど生理の貧困が世界中の女性にとって日常的なものかを知りショックを受けました。(筆者翻訳)」(Mollyさん)

引用元:Ending Period Poverty: Interview With Molly Hayward, Founder Of Cora — The Good Trade

Coraが取り組む、生理の貧困とは

「生理の貧困」という言葉を聞いたことがありますか?

生理の貧困とは、金銭的または社会的な理由で、生理用品を買うことが難しかったり、生理の知識を十分に得られなかったり、衛生的に生理用品を処理することができない状態のことです。

ユネスコによると、生理用品や生理にまつわるリソース不足などの理由で、生理がある学生の10人に1人が、生理で学校に通うことができていません。多くの貧しい地域では、公衆衛生とインフラが不足しているため、学生たちが生理期間を衛生的に過ごすことを難しくしています。

参照:Cora Announces Partnership with United Way and Commits to Donating Five Million Period Care Products by the End of 2022

昨今、日本でも耳にする「サステナビリティ」や「SDGs(持続可能な開発目標)」にも、生理の貧困は深く関係しています。
生理の貧困の解決に取り組むことは、目標1(貧困をなくそう)目標3(すべての人に健康と福祉を)目標4(質の高い教育をみんなに)、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)、目標6(安全な水とトイレを世界中に)を達成することにも繋がります。

先進国である日本でさえも、生理の貧困に直面している人は少なくありません。先日行われた厚労省の調査では、若い世代の12人に1人生理用品を手に入れるのに苦労した経験があると答えています。近年、少しずつではありますが、自治体でも小中高校で生理用品の無償配布を行うなどの動きも増えてきています。

パートナーシップで世界の「生理の貧困」解決へ

これまでに1000万個以上の生理用品を途上国に寄付

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出典:Our Impact | Cora

Coraは創業当初から、女性に近代的な生理ケアを届けるライフスタイルブランドであることにこだわってきました。アーカー・イノベーション(Aakar Innovations)とザナアフリカ(ZanaAfrica)をはじめとする数々の団体と協力し、世界中の生理の貧困に苦しむ人たちに生理用品の配布を行っています。

例えば、Coraの1ヶ月分の使い捨てナプキンが購入されると、世界の生理用品を必要とする人に、1ヶ月分の生理用品が届き健康教育活動が行われるそう。

この仕組みを通じて、創業年の2016年から2020年までの5年間に、 12,442,917個の生理用品が、ケニア、インド、アメリカ、ヨーロッパ各国へ届けられ、150万人以上の生理の貧困に苦しむ人を支援してきました。

具体的には、4,146,264枚の生理ナプキンと健康教育が49,734人のインドの子供たちへ、5,094,889枚の生理ナプキンと健康教育が80,400人のケニアの子供たちへ、そして3,201,764個のナプキンとタンポンが50,000人のアメリカの子供たちへ提供されました。

2020年6月からは、アメリカを中心に起こったBLM運動を受け、すでに10万個のCoraの商品がBIPOC(黒人、先住民、有色人種)コミュニティへ届けられています。

世界基準で認められたCoraの社会貢献

業界をリードしてきたCoraの社会貢献は、B Corp(Bコープ)として認証されています。 B Corpは社会や地球環境にいい影響を与えている企業に与えられる認証のことで、取得には厳しい水準をクリアする必要があります。現在、B Corpは50か国で2500社以上あると言われています。

日本で知られるブランドでB Corpに認められている企業の例には、パタゴニア、ダノン、オールバーズなどがあります。最近は、サステナブルな購買行動が増えており、B Corpはサステナブルな商品を買うための指標になっているようです。

Coraは2021年12月に、アメリカの非営利団体ユナイテッド・ウェイと提携し、2022年の終わりまでにアメリカ国内で660万個の生理用品を寄付することを宣言しました。この多くは、貧困・低所得者の割合が多い、BIPOC(黒人、先住民、有色人種)コミュニティの支援に当てられます。

参照: Cora Announces Partnership with United Way and Commits to Donating Five Million Period Care Products by the End of 2022

2022年リブランディングでより親しみやすいブランドに

素材にこだわったさまざまな商品を展開し、アメリカの生理用品業界をリードしてきたCoraですが、2022年ついにリブランディングを行いました。リブランディングに伴い、ロゴマークと商品のパッケージも新しくなっています。

パッケージデザインは、温かみのあるアースカラーへとリニューアル。新しくなったロゴは、アルファベットの「C」が、少し傾いた「O」を支えているようなデザインに。Coraのアイデンティティである「サポート」や「ケア」がロゴで表現されています。

リブランディングの背景には、近年の女性のウェルネス業界への注目の高まりに加え、「生理をありのままに、親しみやすく、共感を得やすい体験に変えたい」というねらいがありました。今まで生理用品を買うことがなんとなく恥ずかしいと感じていた人にも、楽しく商品を選んでもらえるようなパッケージになっています。

CoraのVPブランド&クリエイティブ担当のAndrea McCullochさんは、「私たちは、生理ケアをより発展させることで、みなさんにセルフケアのように感じてほしいと考えています。商品を引き出しの下にしまって隠すことなく、スキンケア商品やコスメと一緒に洗面台のカウンターに置いてもらえるようなブランディングを行いました。(筆者翻訳)」と言います。

引用元:Menstrual Care Brand Cora Wants to Add a Little Luxury to Your Period – PRINT Magazine

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出典:Period Care Specialist Cora Reveals Colorful Rebrand And New Wellness Products - Beauty Independent

同時に、3つの新商品も発売されました。

デリケートゾーン用保湿バームの「Restorative Vulva Balm(23米ドル)」、生理パッチの「Stay Well Period Patch(6枚入り13米ドル)」、腟坐剤(ちつざざい)の「Balancing Boric Acid Suppository(10個入り17米ドル)」がCoraの商品シリーズに加わり、よりバラエティに富んだ生理・ウェルネスケアブランドへと生まれ変わりました。

筆者から

この記事では、世界の「生理の貧困」の解決のためソーシャルグッドな取り組みを行うCoraについて紹介しました。

パートナーシップを通じて途上国へ生理用品の提供や教育を行うCoraは、まさにサステナブルビジネスのロールモデル的存在です。

日本でも生理の貧困の状態にある人は少なくはありません。「12人に1人が生理の貧困の状態である」という事実をどのように感じますか?生理の貧困は、とくに経済的に立場の弱い学生のあいだで深刻な問題で、十分な生理用品を買うことができない学生の割合は5人に1人だとも言われています。

生理用品や生理に関する知識が不足すれば、教育やキャリアの機会などにも悪影響を及ぼす可能性もあります。日本のテレビなどでも、生理の貧困について報道され始めていますが、まだまだ生理に対する社会の理解は低そうです。海外ではすでに生理用品を非課税対象にしたり学生には無料提供をする国も多くあります。日本でも、そのような生理用品にかかる経済的負担を減らす動きが広がってほしいですね。

Coraの商品は、大型スーパーマーケットのTarget(ターゲット)やWalmart(ウォルマート)、ドラッグストアチェーンのCVSなどで取り扱われています。途上国の人々の応援にもなる生理用品、アメリカへ旅行する際はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

後半の記事では、Coraの「生理バーム(The Period Balm)」を紹介しています。こちらもご覧ください。

参考サイト

Period Care | Bladder Care | Body Care - Cora
Cora Announces Partnership with United Way and Commits to Donating Five Million Period Care Products by the End of 2022
Period Care Specialist Cora Reveals Colorful Rebrand And New Wellness Products - Beauty Independent
Ending Period Poverty: Interview With Molly Hayward, Founder Of Cora — The Good Trade
Menstrual Care Brand Cora Wants to Add a Little Luxury to Your Period – PRINT Magazine
生理の貧困、厚労省が初めて全国調査 入手に苦労「ある」は8.1%:東京新聞 TOKYO Web

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