9価HPVワクチンの費用と効果|安全性は?打つべき?

公開日 2022-05-25 更新日 2022-05-25

記事監修医

島袋朋乃先生

産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。

2021年2月、より効果の高いHPVワクチンとして、9価HPVワクチンが日本でも承認されました。
しかし、HPVワクチンの安全性はどうなのか、打つべきなのかと疑問に思っている方も多いと思います。

また、9価HPVワクチンは日本での製造販売が「承認」された段階であり、まだ公費対象とはなっていません。自費で打つとなると、1回につき3万円ほど、3回接種で10万円近い金額がかかることになります。

そこで本記事では、HPVワクチンの安全性や効果をわかりやすくご紹介したうえ、9価HPVワクチンを打つべきかどうか、有効性やメリットをご紹介します。

HPVワクチンの接種によってどのような効果が得られるのかを正しく理解したうえで、接種を検討していただければと思います。

HPVワクチンとは?

HPVワクチンとは、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐためのワクチンです。

HPVは主に性交渉によって感染するウイルスであり、性交渉をする男女のほとんどが感染するといわれています。
HPVワクチンはすでに感染したウイルスを排除する効果はないため、性交渉を経験する前の接種が最も推奨されます。また、性交渉の経験がある人でも、年齢などの状況により接種をするメリットは大きいです。

HPVには100~200もの種類があり、そのうちの13種類に発がん性があることがわかっています。

通常は感染しても数カ月以内に改善し、2年以内に約90%自然治癒します。しかし、特定の種類のHPVに感染した人の少数はそのまま感染を維持し、数年から数十年後に、子宮頸がんなどの病気を発症してしまうのです。

なお、HPVは子宮頸がんだけでなく、男女ともに外陰がん、肛門がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマなどの原因となります。HPVワクチンを接種することで、HPV感染を予防しこれら病気の発症を防ぐことができます。
また、自分が感染しないことでパートナーへの感染も防ぐことができます。

HPVワクチンの種類

HPVワクチンには現在、「2価」「4価」「9価」の3つの種類があります。
「〇価」とは、効果のあるHPV型の数をあらわします。つまり、9価であれば9種類のHPV型の感染を予防できるというわけです。

子宮頸がんを引き起こしやすいとされる型はHPVの16型と18型とされ、この2つが子宮頸がんの原因の60~70%を占めています。

2価HPVワクチン(商品名:サーバリックス)では、この2つの型を予防します。4価HPVワクチン(商品名:ガーダシル)は、上記2つの型に加え、尖圭コンジローマの原因といわれる型2つを追加したものです。9価HPVワクチン(商品名:シルガード)では、さらに5つの型を加え、9種類のHPV型の感染を予防します。
これにより、子宮頸がんの予防効果が90%以上に上がることがわかっています。

海外では9価HPVワクチンの接種が推奨されており、世界の80カ国以上において承認され、アメリカではすでに公費助成での接種プログラムが実施されています。

9価HPVワクチンの有効性と安全性

ワクチン接種イメージベクター

2007年から2009年にかけて18カ国でおこなわれた臨床試験では、4価HPVワクチンと比較して、9価HPVワクチンで新たに追加された型(31・33・45・52・58型 )による病変が97.4% 減少したことが証明されました。

安全性については、国際共同試験により検証がなされています。その結果によると、アナフィラキシーなどの重大な副反応については発生数そのものが少ないため、その発生頻度は不明とされています。

頻度の高い副反応としては、接種部位一時的な疼痛・腫脹・紅斑があげられますが、これらの副反応は4価HPVワクチンにおいて84.9%であったのに対し、9価HPVワクチンでは90.7%となっています。この結果をみると、4価HPVワクチンと比べると、9価HPVワクチンのほうが若干注射部位の副反応は出やすいといえます。

ちなみに、日本では2016年に重大な副反応(脳障害など多様な症状)の可能性が話題となりましたが、その後の臨床試験やアンケート調査の結果、発症した症状とワクチン接種との因果関係はないことが明らかになっています。

参考:子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために 3)HPVワクチンの安全性はどう評価されているのですか?|公益社団法人 日本産科婦人科学会

9価HPVワクチンが公費対象となるのはいつから?

9価HPVワクチンは、2020年7月に日本での製造販売が承認されました。対象は9歳以上の女性のみで、現在は定期接種の対象ではないため、公費での接種は受けられません。

9価HPVワクチンの定期接種については、2020年8月より国の検討が開始されていますが、現時点では実現に時間を要すると考えられています。

「9価HPVワクチンが定期接種の対象となるまで接種を待つべき?」という疑問をもたれる方もいるかもしれません。
しかし、日本産婦人科学会では、対象年齢に達したら現段階で打てる2価・4価HPVワクチンを接種しておくことが推奨されています。前述したとおり、HPVワクチンは性交渉を経験する前に打つことでより高い効果を発揮するためです。
ただし、すでに性交渉を経験している場合でも、HPVの感染予防効果はやや劣りますが、26歳までの女性には積極的に接種することが推奨されています。そのほか、27歳~45歳までの女性や、子宮頸部異形成の既往がある女性でも、希望する方は接種を受けることができますので、産婦人科で医師に相談してみましょう。

日本では現在、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、2価・4価HPVワクチンの定期接種がおこなわれています。9価と比べると守備範囲は少ないものの、主要なHPV型に対して十分な効果を得られますので、接種時期を逃さず接種を検討することをおすすめします。

各市町村が実施主体となるため、接種の際は市町村の予防接種担当課にお問合せください。

なお、世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)によると、2価・4価HPVワクチンでの接種が完了している場合、9価HPVワクチンの追加接種は推奨されていません。

9価HPVワクチンを接種したいときは

9価HPVワクチンは、任意接種として接種することは可能です。ただし、接種費用は全額、自己負担となります。接種を希望される場合は、お近くの医療機関へ直接ご相談ください。

最近では9価HPVワクチンを取り扱う医療機関が増えてきました。「9価 HPVワクチン (お住まいの地域名)」「シルガード9 (お住まいの地域名)」で検索してみてください。
また、時期によって9価HPVワクチンの取り扱いがない場合がありますので、受診前に電話で確認しておくとよいでしょう。

また、9価HPVワクチンは定期接種の対象ではないため、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度は対象となりません。
もしも健康被害があらわれた場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象となります。

正しい情報を知って自分と大切な人や命を守ろう

9価HPVワクチンは日本ではまだ任意接種となりますが、世界基準で接種が推奨されており、有効性や安全性が証明されているワクチンです。現在承認されているHPVワクチンのなかでは、最も守備範囲が広いワクチンといえます。

もしも、HPVワクチンを打たずに子宮頸がんを発症した場合には、子宮を失ってしまったり、命を落としてしまったりする可能性も考えられます。
また、再発や増悪の不安を抱えながら定期的に通院すること自体にも、大きなストレスがかかります。

HPVワクチンの接種は自分や大切な人の体を守ることにつながりますので、正しい情報を知ったうえで、接種を検討してくださいね。

【参考】

ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省
9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために|公益社団法人 日本産科婦人科学会
9価HPVワクチンの概要

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