生理痛は減らせるってほんと?生理中にアロマを活用する方法を解説

公開日 2022-05-06 更新日 2022-05-06

記事監修医

オータム先生

筋トレを愛する現役整形外科医。
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多くの女性が悩まされている生理痛。この痛みをなんとか和らげる方法があればぜひ試してみたい、そう感じる方も少なくないかと思います。

痛みを和らげる方法の1つとして、アロマがあることをご存じでしょうか?
今回はアロマコンサルタントをしている筆者が、研究論文をもとに、生理痛を減らすアロマの活用方法について解説します。

生理痛は異常なことではない

内閣府が実施した「男女の健康意識に関する調査」によると、20代女性の7〜8割が生理に関する不調を抱えていることがわかっています。不調の中では生理痛が1番多く、64.2%もの人が悩んでいます1)

生理痛の原因は、子宮の内側の組織を外に排泄するための子宮収縮です。子宮収縮自体は正常な反応なので、生理痛はけっして異常なことではありません。生理痛は下腹部や腰の痛みのことをさしますが、なかには頭や胃など体の他の部位が痛む人もいます。
子宮から放出される「プロスタグランジン」というホルモンの量に影響を受けるため、痛みの強弱は個人差が大きいのです。

特に10〜20代は、プロスタグランジンが過剰になりやすいといわれており、年齢を重ねると症状が緩和されることもあります。次第に落ち着くとはいえ、毎月生理の度に痛い思いをするのはつらいですよね。

生理痛を和らげるアロマの効能

アロマイメージ画像

Unsplash Photo Community / Christin Hume (@christinhumephoto)

では、この生理痛を和らげる方法は何かないのでしょうか?
1つにはアロマが挙げられます。アロマの文化が進んでいる欧米では、生理痛の軽減に関する研究や論文が数多くあります。

今回紹介する論文は、原発性月経困難症の痛みを軽減するアロマテラピーに関して多くの研究をまとめたものです2)
アロマテラピーは、エッセンシャルオイルを治療に用いるものです。エッセンシャルオイルは、自然植物から抽出される天然の精油なので「植物療法」としても活用されています。

この論文の結論として、アロマテラピーが生理時の痛みを軽減することが明らかになっています。香りを吸入する一般的な方法だけではなく、マッサージで使用する方法も効果があることがわかりました。

また、エッセンシャルオイルの中でもラベンダーのリナロール、ペパーミントのメントール、フェンネルのフェンコンなどの鎮痛成分が関与しているかもしれないとされています。

アロマコンサルタントが紹介する生理に効くアロマの活用法

エッセンシャルオイルは、心身のバランスを保ちたいときにおすすめです。神経やホルモンを整える作用もあります。生理中の痛みや不調は、女性ホルモン変動やストレスによる自律神経の乱れが影響しているため、アロマテラピーとの相性がいいとされています。

女性がアロマの恩恵を受けやすいのは、男性よりもホルモン変動が大きいからなのです。筆者が、日常生活で取り入れられる生理痛対策をお伝えします。

まずは芳香(ほうこう)でリラックス

アロマディフューザーなどでアロマを空気に拡散させて香りを楽しみます。
香りは嗅覚を通じて大脳に直接届くので、自分で意図するよりも速く心身を和らげてくれるのです。

アロマバスで温まると効果が高まる

子宮から筋肉を収縮させるプロスタグランジンが分泌されると、血管が収縮し冷えやすくなります。体が冷えることで生理痛も増強するので、温めることは効果的です。お風呂に数滴アロマをたらすことで、香りと温浴効果により症状緩和が期待できます。

天然塩にアロマを吸収させるとお湯に混ざりやすいのでおすすめです。洗面器のお湯に手足をつけるだけでも、いい香りと共に心地よく温浴ができます。お湯とアロマの入った洗面器にタオルを浸し、温パックとして腰や下腹部を温めることも効果的ですね。

セルフマッサージすると血流促進にも

生理痛に対するアロマの効果は、香りの吸引とマッサージ両方をおこなうことで高くなるといわれています。

触覚と嗅覚両方に関連して副交感神経系が働くことで、リラックスの相乗効果があるからです。生理後半は血流の流れが悪くなり、特に骨盤周囲の重だるさを感じるようになりますよね。スキンケア用のオイルで薄めたエッセンシャルオイルを腹部や腰にぬり、手のひらで優しくさするように体の緊張をほぐしましょう。

おすすめのアロマと使い方

女性の心と体を安らげるアロマは多くあります。
生理症状の緩和作用があるラベンダー、クラリセージ、ゼラニウムなどを使用してみましょう。エッセンシャルオイルを取り入れる際には、品質を確認して製品を選ぶことがポイントです。スキンオイルで薄めて少量から使い始めてみましょう。

エッシェンシャルオイルによっては、子宮収縮を強める場合があるので注意が必要です。自分の好みや体質にあわせて活用してみてください。
エッセンシャルオイルが心身を整えるメカニズムは、さらに基礎研究が進んでいます。今後、生理痛や女性の心身のお悩みに関して、アロマテラピーの活用に期待です。

アロマで改善しない生理痛は我慢しないことが大切

生理痛イメージ画像

iStock / fizkes

生理痛は不規則な生活に加えて、不安や精神的な状態により症状が増強されます。強い痛みは1〜2日でおわることがほとんどですが、トラウマや恐怖心により痛みが長引くこともあります。

「毎回痛み止めを飲んでいることが心配」「寝こむと何もできず、周囲の人に申し訳ない」「仕事がつらいけれど生理休暇を申請しにくい」のようなお悩みもあるかもしれませんが、症状を我慢しないことが大切です。
対処方法や環境調整について、身近な人と話し合うことも重要です。痛みが強くて日常生活に支障をきたしている方は無理をせずに、病院に受診しましょう。

今回学んだ新常識

■生理痛はアロマで減らせる
■香りをかぐだけでなく、温浴やアロマオイルでマッサージすることで痛み軽減の効果が高まる

まとめ

今回は生理痛に対するアロマの効能とアロマコンサルタントおすすめの活用方法についてお伝えしました。生理痛は正常な体の反応ですが、痛みの強さには個人差があります。アロマの香りを楽しみ、温浴やマッサージに取り入れることでリラックスや疼痛緩和(とうつうかんわ)が期待できるかもしれません。

生理による痛みや不調をひとりで我慢する必要はありません。周囲の人や婦人科医師に相談しながら、症状とうまくつきあっていきましょう。

参考文献

1)内閣府男女共同参画局 男女の健康意識に関する調査報告書
2)Myeong Soo Lee et. 2018 Nov 10;7(11):434. doi: 10.3390/jcm7110434. Aromatherapy for Managing Pain in Primary Dysmenorrhea: A Systematic Review of Randomized Placebo-Controlled Trials

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