生理ナプキンはトイレに流せる時代? 世界初!「Planera」の水溶性ナプキン

生理用品のゴミが地球環境に大きな影響を及ぼしていることはご存じですか?
私たちは生涯1人につき11,000個以上もの使い捨て生理用品を使用するといわれています。使用後の生理用品のほとんどは埋め立てられ、分解されるには長い年月がかかるため、海洋汚染の要因にもなっています。
最近では環境への影響を配慮した「月経カップ」や「吸水ショーツ」といった生理用品の選択肢もありますが、使い捨て生理用品に慣れてしまっている人であれば、新しい生理用品に切り替えるのはハードルが少し高いのではないでしょうか。
そこで今回は、世界初のトイレに流せる水溶性のナプキン 「Planera(読み:プラネラ)」をご紹介します。2022年秋に発売が決定した、注目のフェムテックアイテムです。
「ゴミの責任」への疑問から生まれたブランド
世界初の水に流せる生理ナプキンを作ったのは、2017年に創設されたイギリス・ロンドンの生理ケアブランド「Planera」です。Planeraのナプキンは十分な吸水力がありながらも環境にも配慮した、まさに革命的な商品です。
流せるナプキンが作られたきっかけは、医師のOlivia AhnさんとエンジニアのAaron Koshyさんの「ある不満」からでした。

出典:Sanitary pads that help save the planet launch - Imperial Enterprise Lab(左:Olivia Ahnさん、右:Aaron Koshyさん)
「Planeraは、私とAaronが、毎年生理用品のゴミによって作り出されるゴミの量に対し非常に不満に感じていたことから誕生しました。(筆者翻訳)」(Ahnさん)
「生理用品をつくる企業たちは、その廃棄物の処理に対しても大きい責任があるはずです。生理用品をゴミ箱に捨てるだけで、環境問題を解決できるわけではありません。生理用品とは、私たちの毎月の健康ルーティンに欠かせないものです。ー私たちPlaneraは、人々の暮らしをより快適なものにします。(筆者翻訳)」
日本でも「環境に優しい素材を使用」などと記載された商品はよく見かけますが、製造過程があやふやであったり、正しくリサイクルや処分がされていないことも事実です。
そういった、聞こえのいいだけの「サステナブルビジネス」のありかたに反対し、「つくる責任」や「つかう責任」まで考えたものづくりに取り組むのがPlaneraのチームです。
2022年版「世界を変える30歳未満30人」にも選出!
Aaronさんは、2022年のforbesが選ぶ「世界を変える30歳未満30人」ヨーロッパ版に選出。
「Planeraの吸収性衛生用品業界に変化を起こす取り組みを、Forbesに認めていただいたことを光栄に思います。これまでのプラスチック製の生理用品に対抗するため、Planeraの流せる・マイクロプラスチックを出さない生理ナプキンをスケーリングすることは、素晴らしいパートナーや投資家のみなさん、そして我々のチームだからこそ達成できたことです。(筆者翻訳)」(Aaronさん)
この記事を読んでいる人におすすめ商品
-
-
やわらかっぷ
月経カップ挿入の不安を少しでも軽減したい方におすすめ!
水に流せるナプキン、その仕組みと吸水力は?
注目の流せるナプキンですが、「経血が付着した瞬間に下着の中で溶けてしまうのでは?」と心配に思う人もいるのではないでしょうか。ここでは、Planeraのナプキンの仕組みを紹介します。
決まった水量と水流で溶け出す仕組み
Planeraのナプキンが水に溶ける条件には、ナプキンの全体が水に浸されている必要があります。そして、水でひたひたになったナプキンに強い水流が加わることで、トイレットペーパーのようにホロホロと溶け出すのだそうです。
一般的なトイレの1回で使われる水の量はおよそ9Lです。(日本は約3.0L〜4.6L)Planeraのナプキンは水溶性ではありますが、溶けるにはある程度の水量が必要になります。
人によりますが、経血は1日に30ml程度、5日間でも100ml程度なので、経血では溶け出すことはないということです。
参照:1人が1日に使う水は何リットル?家庭で水を節約する方法 | 家事・くらし | UP LIFE | 毎日を、あなたらしく、あたらしく。 | Panasonic特殊な素材が経血を吸収、長時間でも肌さらさら
CEOのAhnさんによれば、現在の状態になるまで数年にわたる試作と研究が行われたそう。ついに2021年、長時間つけていても快適で肌にも優しいナプキンが完成しました。
「3年以上のリサーチと開発がかかりました。世界中のネットワークのサプライヤーとパートナーと協力し、(省略)触り心地も優しくさらさらで長く使える、サステナブルな素材の開発を目指しました。」(Ahnさん)
Planeraのナプキンは生理が重い人の経血量を想定した24時間テスト済み。他社のナプキンよりも15%も高い吸収性です。そのため、生理が重めの人にも安心して使ってもらうことができるとAhnさんは言います。
ナプキンの本体だけでなく、外側のパッケージも水に流すことができます。経血量が多いために、ナプキンを多めに携帯しかさばってしまうという人こそおすすめなアイテムです。
この記事を読んでいる人におすすめ商品
-
-
feminak カルミエ
お手入れがしやすい月経カップを探している方におすすめ
使い方は一般のナプキンと同じ
1.通常のナプキンのように装着し使用
パッケージを剥がしたら他のナプキンと同様に装着し使用します(パッケージもトイレに流すことができます)
推奨の使用時間は最大8時間です
また、運動後には新しいナプキンに交換してください
2.使用後はトイレのなかへ
ナプキンの接着面を上にするか内側に折ってから便器の中に投入してください
3.流したら終わり
便器に入れたら放置せずにすぐに流してOK
流すとナプキンが水に溶け始めます
従来のナプキンが自然に還るまでには500年かかる
驚くことに、私たちがよく使用する使い捨てナプキンが生分解されるためには、500年かかり、商品を使う私たちの寿命よりも遥かに長い年月を必要とします。
「環境に優しい」という理由で購入する人の多いオーガニックナプキンでさえ、生分解には80年もかかってしまいます。
対してPlaneraのナプキンは、水に流さなくても30日間程度で自然に還ることができます。
Planera | オーガニックナプキン | ナプキン | |
---|---|---|---|
使用後の廃棄方法 | トイレへ流す | ゴミ箱 | ゴミ箱 |
生分解までにかかる時間 | 30日以下 | 80年 | 500年 |
マイクロプラスチックの流出の可能性 | なし | あり | あり |
環境への影響 | 2.7kg CO2/年 | 5.1kg CO2/年 | 5.9kg CO2/年 |
シンプルな原材料で環境への影響減
Planeraのナプキンに使用されているのは、「植物ファイバー(plant fibres)」、「樹液(tree sap)」、「バイオポリマー」の3つのシンプルな材料です。マイクロプラスチックやゴミを排出しない「ゼロウェイスト※」なナプキンです。
※ごみを焼却や埋立て処理をすることなく環境負荷を減らし、ゴミ(ウェイスト)をゼロにする考え方
トイレに流れたあとのナプキンは、水、バイオガスと肥料へと分解されます。
トイレに流していいのはPlaneraのナプキンだけ!
あまり知られていませんが、生理用品のゴミは海洋ゴミのなかで5番目に多いゴミだと言われています。
Planeraが誕生したイギリスでは、生理用品のゴミの56%は埋め立てられ、14%は焼却されます。そしてショックな事に、30%もの生理用品のゴミは水路へ流されています。もちろん、この水路に流されている30%の生理用品は流せる生理用品ではありません。
従来の生理用品の90%はプラスチックでできています。これらのゴミは、年間にしてなんと20万トンのゴミの量になるそうです。
こうしてみると、私たちが普段使っている生理用品は、地球環境にかなり影響があることがわかりますね。
ナプキンやタンポンは絶対にトイレに流さないようにしましょう。
今現在、流せるナプキンはPlaneraのナプキンのみです。
この記事を読んでいる人におすすめ商品
-
-
ベア シグネチャー ショーツ 03
突然のタイミングや多い日の味方になる吸水ショーツ
発売前にもかかわらず世界から注目を集める
流せるナプキンの誕生は、生理がある多くの人にとって待望の商品。
まだPlaneraの公式販売はされてはいませんが、こちらからウェイトリストに登録しておくと、商品に早くアクセスすることができるそうです。販売予定は今年の11月から。値段は40個入り13.50ポンド(2022年7月時点)です。
気になる人は、ウェブサイトのウェイトリスト登録ページをぜひチェックしてみてください。
また、海外の大手メディアからも期待の声が聞かれています。
「流せるナプキンの存在にとてもワクワクしています。もっと早く発明されていればよかったのに。(筆者翻訳)」(コスモポリタン)
「未来のフェムケアがいまここに・・・(筆者翻訳)」(フォーブス)
「これらの流せるナプキンは非常に地球に優しいので、次の生理がくるまでには分解されているでしょう。(筆者翻訳)」(OK! Magazine)
流せるナプキンに加えて「流せるおりものシート」が6月中旬に発表され、世界からますます注目を集めています。
筆者から
今回は、Planeraのトイレに流せるナプキンについてご紹介しました。世界初の流せるナプキン、発売が待ち遠しいです。
生理用品のゴミ問題についてですが、生理用品が海洋ゴミのなかで大きな割合を占めていることは意外に知られていません。生理用品は衛生的にリサイクルが難しいので焼却か、焼却設備がないところではそのまま埋め立てがほとんどのようです。そのため、死んだ魚や鳥の胃袋からタンポンのアプリケーターが出てきたという報告もされています。
以前、筆者がゼロウェイストの取り組みで知られる徳島県の上勝町へ行ったときに、町のリサイクルセンターを見学したことがありました。上勝町のリサイクル率は80%以上と、国内でもとくに環境に配慮した取り組みを行う町として知られています。そんな上勝町でも、どうしてもリサイクルできずに「どうしても燃やさなければならないもの」が、生理用品のゴミ。ゴミ分別が40種類以上もあって町じゅうの生ゴミを肥料として再活用する上勝町でさえ、生理用品は焼却ゴミとなってしまうのです。

(筆者撮影)
生理とはこれから何十年も付き合っていくので、環境に配慮したゴミの少ない生理の過ごし方について考えたいですね。Planeraがこれから社会へ与える影響力に期待です!
この記事を書いた人

性教育・フェムテック領域に興味津々な20代のメンバーで構成される、ピルモット編集部による記事です。