RN先生
産婦人科医として産科・不妊症・婦人科がんまで幅広く診療に従事。「ゆりかごから墓場まで」をモットーに様々な年代の女性に寄り添った診療を心がけています。 多数の臨床・研究の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。
RN先生
産婦人科医として産科・不妊症・婦人科がんまで幅広く診療に従事。「ゆりかごから墓場まで」をモットーに様々な年代の女性に寄り添った診療を心がけています。 多数の臨床・研究の経験を活かして、医療ライターとしても活動中。
連載第一回目では、骨盤をとりあげます。
「骨盤矯正」や「骨盤ダイエット」などに出てくる「骨盤」。あなたはどのようなものだと思っていますか?
では、まず骨盤がどこにあるのかを確認してみましょう。 図を見て考えてみてください。体のどのあたりにあるものだと思いますか?
骨盤って、腰骨のことですよね。腰パンをするときにズボンを引っ掛ける部分だと思っていました。このハート型の骨、仙骨のことでしょうか。
実は、仙骨・尾骨・左右の寛骨(腸骨・恥骨・座骨)はすべて骨盤の骨です。骨盤という名前の骨はなく、総称して骨盤と呼ばれます。
骨盤っていう名前の骨があると思ってました。
ただし、骨盤という言葉は骨だけを指すとも限りません。骨盤というのは主に2つのものから構成されていると考えると分かりやすいです。
この2つは何だかわかりますか?
2つ……? 難しいですね。
骨以外にもう一つ、何か骨盤をつくっているものがあるということでしょうか。うーん。筋肉ですか?
そうです。骨盤は主に骨と筋肉からできています。かたちとしては「臓器を入れておくための入れ物」をイメージするとよいでしょう。イメージできそうですか?
はい!肋骨のなかに肺が入っているみたいな感じですよね?
残念、ちょっと違いますね。
先ほど、骨盤は「臓器を入れておくための入れ物」と言いました。おなかのなかで臓器を支えている骨盤がもしなくなったら、どうなると思いますか?
内臓が落ちる????
ここでヒトと牛や馬などの動物の骨盤との違いを考えてみましょう。
人は進化の過程で二足歩行を手に入れました。その結果、骨や筋肉など内臓を支えるものが必要になり、骨盤が発達したと考えられています。骨はお椀のような形になり、お椀の底の部分を覆うように筋肉が発達して、内臓を支えるようになったのです。
もし仮に入れ物である骨盤がなくなってしまったら、皮膚だけでは内臓の重みを支えきれず、内臓が飛び出してしまうでしょう。
内臓って、そんなに重たいものだったんですね!骨盤は内臓の入れ物という意味がわかりました。
では、次に骨盤の骨について、もう少し詳しくみてみましょう。骨盤の骨のかたちは女性と男性で大きく違いますね。
はい。女性の骨の形はロート型というのでしょうか、上が開いていて隙間が丸いです。男性の骨の形は縦にシュッと長くて、全体的に女性よりコンパクトですね。 そうか!骨盤の骨が横長だから、女性の体はくびれて見えるんだ!
そうですね。男女で骨の形が大きく違うことがわかりましたね。
では、なぜ骨盤の骨の形が男女で違うのだと思いますか?
うーん。出産のときに、頭の大きい赤ちゃんを通さないといけないからでしょうか。
赤ちゃんが産まれてくるときにいちばん大変なのは、お母さんの骨盤を通るところだって聞いたことがあります。
正解です。女性は出産のときに10センチ近くなる赤ちゃんの頭が通る骨の隙間がないといけないので、骨の隙間が大きくなっています。
男性は骨盤が女性より狭いとか、女性は骨盤が広いと言われるのはこのことです。俗に言われる「お尻の大きな女性は安産だ」というのも同じ話ですね。
女性の骨盤の骨は、出産のときに赤ちゃんが通れるような形になっているんですね。 人間の体って本当によくできてますね。
骨盤の底にある隙間は男性も女性も、内臓が抜け落ちていかないように筋肉で覆われています。これを骨盤底筋とか、骨盤底筋群と呼びます。
次回はこの骨盤の筋肉について学んでいきましょう。
■骨盤は骨と筋肉でできた、内臓を入れておくための入れ物
■女性の骨盤の骨には赤ちゃんの頭が通るサイズの隙間がある
【参照】
首こりの原因、背骨のしくみから解き明かす|NIKKEI STYLEこの記事を書いた人
性教育・フェムテック領域に興味津々な20代のメンバーで構成される、ピルモット編集部による記事です。