“恋が女性ホルモンを増やす”わけではない!?自分らしく輝きたい人がするべきこと3つ

公開日 2022-12-22 更新日 2022-12-22

記事監修医

島袋朋乃先生

産婦人科医師。平成28年に旭川医科大学医学部を卒業後、函館五稜郭病院、釧路赤十字病院を経て、現在は産婦人科医として市中病院で臨床経験を重ねる。総合病院やクリニックで産科、婦人科、生殖医療に携わる。日本医師会認定産業医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。

「恋をすると女性ホルモンが増えてきれいになる」という話を聞いたことがある女性も多いのではないでしょうか?

しかし、この話は間違った認識といえます。
女性ホルモンによって美容によい影響があるという点においては間違いないのですが、女性ホルモンは恋やセックスによって増減することはありません。

ただ、実際に恋をしている女性が以前よりもきれいになった……と感じた経験がある方も多いはず。
それには、女性ホルモン以外の原因が関係している可能性があります。

そこで、この記事では、女性ホルモンが恋やセックスによって増減しない理由をご紹介しつつ、恋をするときれいになるといわれる理由や、きれいになりたい女性がすべきたった3つのことをご紹介します。

恋愛やセックスによって女性ホルモンが増えることはない

恋愛ではドキドキすると「女性ホルモンが出ている」という感じがしますよね。しかし、恋愛やセックスによって女性ホルモンが増えることはありません

女性ホルモンの仕組みを理解すると、恋愛やセックスによって女性ホルモンが出ることはないという理由がわかります。

そこで、本章では簡単に女性ホルモンが分泌される仕組みをご紹介します。

女性ホルモンは生理周期に従って分泌される

ホルモンというと脳から分泌されるように思いますが、実は女性ホルモンは「卵巣」から分泌されています。
女性ホルモンは周期的に分泌され、それに従って毎月生理が起こります。そのため、基本的に恋やセックスの有無に左右されることはありません。

女性ホルモンが分泌されるメカニズムは、以下のようになっています。

メカニズムとしては、まず脳の視床下部から下垂体へ指令が出ます。すると、指令を受けた下垂体が「性腺刺激ホルモン」を分泌、それが卵巣に作用し、卵巣から女性ホルモンが分泌されています。

女性ホルモンは本人の意思とは関係なく周期的に分泌され、恋愛やセックスによって体に影響を及ぼすほどの増減をすることはないとされています。

女性ホルモンの種類2つとそれぞれのホルモンの作用

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。このうち、エストロゲンには肌をきれいにしたり髪につやを与えたりといった作用があることが知られています。

<女性ホルモン2種類と作用>
エストロゲン:生殖器官を発育、維持させ妊娠しやすい体をつくる
プロゲステロン:妊娠維持のためにはたらく

「女性ホルモンが増えるときれいになる」といった認識が生まれたのは、こうしたエストロゲンの作用からきているものと考えられます。

恋をするときれいになるといわれる本当の理由

恋をすると女性がきれいになるのは、女性ホルモンによるものではありません。
しかし、実際に「きれいになったなと思っていたら、パートナーができていた」などの経験をされる方は多いようです。

こうした実体験が女性ホルモンの作用と結びつき、「恋をすると女性ホルモンが増える」という誤解が生まれたのでしょう。

では、なぜ恋をするときれいになると感じるのか、本当の理由が気になる方も多いはず。
そこで、本章では恋をしてきれいになったと感じられるときに考えられる理由3つをご紹介します。

心理的な変化による言動の変化

恋をするときれいになるひとつめの理由として考えられるのは、心理的な変化からくる表情や行動、外見の変化です。

恋をすると、恋をした相手にかわいいやきれいだと思われたいという気持ちから、外見への意識が高まる人が多くなります。また、ちょっとした行動においても見られる意識が芽生えるでしょう。

こうした外見の変化、表情や行動の変化が、周囲の人に「あれ、なんかかわいくなったかな?」と思わせている可能性があります。

その他の脳内物質による体の変化

恋のドキドキが起こると、女性ホルモンではなく、いくつかの脳内物質が分泌されます。そして、それらの脳内物質が見た目や魅力に影響している可能性も考えられます。

恋をしてドキドキしたときには、主に以下の3つの脳内物質が分泌されることがわかっています。

<恋をすると分泌されると考えられている脳内物質3つ>
・ドーパミン
・オキシトシン
・PEA(フェニルエチルアミン)

これらの脳内物質が、その人の見た目や魅力に影響する可能性は大いにあります。

例えば、ドーパミンは意欲や快楽に関与するホルモンですが、血流をよくする作用もあるとされるため、肌ツヤをきれいに見せてくれる可能性はあります。
また、PEAには食欲を抑制する効果があるとされるため、恋によって分泌が続けばダイエットも成功しやすくなる可能性も。

これらの脳内物質には脳に快感を与えて意欲を高ぶらせたり、幸福感や癒しを感じさせたりする作用があることが特徴です。

そのため、恋をしてこれらの脳内物質が分泌されると前向きな気持ちにもなりやすく、結果として周囲からみたときに以前よりも輝いて見えるということは大いにあるでしょう。

愛されている自信からくる変化

両想いの場合、見た目や雰囲気に変化が起こる可能性も考えられます。

恋をして両想いになった場合、「相手から認められた」という思いから、自分への自信が高まります。自信がある人は雰囲気も明るく、魅力的に見えるもの。自信があってにっこり笑っている人は魅力的だと感じますよね。

結果として、恋愛がうまくいっている人がきれいに見えるのかもしれません。

恋愛の有無で「オス化する」「フェロモンが出る」もウソ

恋をすると女性ホルモンが出るという誤解の他にも、
「恋愛をしないとオス化する」
「恋愛をしている女性はフェロモンが出る」などの認識も間違いです。

まず、フェロモンについては人間の性フェロモンの存在は科学的に証明されていません。
また「恋愛をしないとオス化する」という言葉はインパクトがあり、つい「そうなのかも……」と焦ってしまいますが、これも間違い。

確かに、女性にも微量の男性ホルモンが分泌されているのですが、恋愛の有無によって増減することはありません
これは男性ホルモンの分泌も女性ホルモンの分泌と同様の仕組みであるためです。

ただし、大人の場合ストレスによってホルモンバランスが崩れ、男性ホルモンの影響を受けやすくなることはあります。

また、「多嚢疱性卵巣症候群」という疾患を持つ人のなかには、男性ホルモンが過剰に分泌されてしまう人もいます。
その場合は恋愛は無関係であり、婦人科での治療が必要です。

女性ホルモンの本来の働きは「女性が健康でいること」

「きれいになるために、どうにか女性ホルモンを増やしたい」という方も多いと思います。
しかし、そもそもの認識として、『女性ホルモン=美容ホルモン』という認識が合っているのかどうか、再確認する必要があります。

女性ホルモンの本来の働きは、女性の健康を維持することです。
よって、美容のために女性ホルモンを増やしたいという感覚が、そもそも本来の目的から逸れている可能性があるのです。

本章では、女性ホルモンを「増やす」と「コントロール」することの違い、女性ホルモンが乱れるとどうなるか、女性ホルモンをコントロールする方法についてご紹介します。

女性ホルモンは増やすのではなく「コントロール」するもの

女性ホルモンは、そもそも「増やす」ものではありません。
分泌量が多ければいいというわけではなく、必要以上に分泌されれば乳がんや子宮体がんを発症しやすくなるなどのリスクもあります。

本当に怖いのは、女性ホルモンのバランスが乱れてしまうこと。
無理に恋愛やセックスをしても、きれいになるどころか無理をしている自分へのストレスによって女性ホルモンのバランスが乱れてしまうこともあります。

女性の健康と美しさのためには、女性ホルモンを増やすことを考えるのではなく、できるだけ適切な量が適切な時期に分泌できるように、体調を整えることが大切です。

女性ホルモンが乱れると起こること

女性ホルモンが乱れて正常に分泌されなくなると、月経不順や過多月経などさまざまな月経トラブルを引き起こします。
最悪の場合、将来の妊娠や骨密度にも影響を与えかねません。

また、女性ホルモンには皮脂分泌を抑えてきめ細かい肌を保つ作用があるため、乱れることで外見に影響を及ぼす可能性も考えられます。

女性ホルモンが乱れる原因としては、以下があげられます。

<女性ホルモンが乱れる原因>
・ストレス
・不規則な生活や喫煙、睡眠不足
・無理なダイエット
・急激な体重の増加

毎月ホルモンを分泌するように、指令を出す視床下部や脳下垂体はデリケートで、ストレスによる影響を受けやすいといわれています。
そのため、失恋によるストレスなども女性ホルモンのバランスを乱す原因になることがあるのです。

不規則な生活や無理なダイエットも、女性ホルモンのバランスを乱す原因につながります。きれいになりたいと無理なダイエットをしても、女性ホルモンのバランスを乱してしまっては本末転倒ですね。

女性ホルモンをコントロールする方法

女性ホルモンをコントロールするには、基本的には健康的な生活を送るのが一番です。

<女性ホルモンをコントロールする方法>
・ストレスをためない
・規則的な生活を送る
・バランスのよい食事を摂る
・適度に運動をする
・禁煙する

基本的な生活習慣を大切にすることで、人間としてのリズムも整い、ホルモンバランスを正常に保つことができます。
健康な体でいることが、女性らしい美しさにつながっているといえるでしょう。

内面からきれいになりたい女性がすべきたった3つのこと

最後に、きれいになりたいと願うあなたが、これから実践すべきことをご紹介します。ぜひ実践し、心身ともにきれいな女性を目指してくださいね。

基本的生活習慣を見直す

まずは基本的生活習慣を見直しましょう。
具体的には、以下のような行動を意識してみてください。

【食事】
・和食を基本にバランスのよい食事を摂る
・ナッツや魚など良質の脂質を摂る
・揚げ物やファーストフードは摂りすぎない

【運動】
・1日30分程度の運動習慣をつくる(ウォーキングなど軽くてOK)
・ヨガやストレッチを習慣にする

【睡眠】
・毎日朝日を浴びる
・寝る2時間前に入浴する
・眠る前はスマホを見ない
・22時までには就寝し、7時間は睡眠時間を確保する

生活リズムが整うと、女性ホルモンのバランスが整うだけでなく心も穏やかになります。ぜひこれらを意識してみてください。

無理なダイエットはしない

心身ともに美しい女性を目指すなら、無理なダイエットはしないようにしましょう。

無理なダイエットをすると女性ホルモンのバランスが乱れ、本来の美しさからは離れていってしまいます。今はよくとも、数年後に髪や肌の美しさが保てなくなったり、不妊などにつながったりすることもあります。

女性の最適なBMIは22とされ、BMIが22に近いほど将来病気になりにくくなると考えられています。近年、日本人女性はBMIが22を下回る「やせ」の人が増えています。

細さだけが美しさではありません。本当の魅力は、その人の人生経験を含んだトータルの雰囲気から生まれるものです。

自分の「好き」を大切にする

最後に、きれいになりたい人は自分の「好き」を大切にしてください。
自分の「好き」とは恋愛に限らず、趣味など自分が本当に夢中になれるものです。

好きなもの、熱中できるものがあると、人は魅力を増し、周りから「ステキだな」と思われるようになります。

「自分が自分らしくいられること」が、何よりあなただけの魅力につながっているのです。

自分らしく輝ける女性を目指そう

女性ホルモンは恋やセックスによって増えることはありません。
また、女性ホルモンは増やすものではなく、自分のコンディションを整えコントロールすることが大切です。

健康的な生活を続けることで、体のバランスも整い、気持ちも安定します。そこであなただけの「好き」を大切にしていけば、自分だけの美しさ・魅力を手に入れられるでしょう。

恋愛においても、間違った情報に振り回されないよう、自分の心を大切にした恋愛をしていってくださいね。

病院検索

からだの悩みやピルについて、
病院に相談してみましょう

STEP1
STEP2

取り扱いで絞り込む

病院の特徴から絞り込む

病院の特徴から探す

エリアから病院を探す