デリケートゾーンのニオイの原因は菌のバランスのせい!?「腟内フローラ」とは

公開日 2023-11-30 更新日 2023-11-30

「腟内フローラ」という言葉を聞いたことはありますか?

腸活や菌活を意識して生活をしている方は「腸内フローラ」や「スキンフローラ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
今回は「腟」で活躍してくれている「腟内フローラ」についてや腟内フローラを意識して過ごすことのメリットなどをご紹介していきます。

女性の健康に必要な腟内フローラについて、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

腟内フローラとは?

腟内フローラとは、腟内にいる細菌の集まり(細菌叢)のこと。細菌が集まっている様子がお花畑のように見えることからラテン語で「豊かな花畑」を表す「フローラ」という言葉で表現するようになりました。

細菌の集まりというと、感染症など嫌なイメージを持つ方も多いかもしれませんが、人は「常在菌」という多数の菌と一緒に生きています。皮膚や頭髪・口の中や消化器官などあらゆる場所で、人にとって良い影響をもたらしてくれる菌も多く存在しているのです。

フローラは「善玉菌」「悪玉菌」「日和見(ひよりみ)菌」という3つのグループにわかれ、数としては日和見菌が一番多く存在しています。この3つが複雑なバランスを保ち、人の健康に関与します。善玉菌と悪玉菌はお互いが菌を増やすために闘っており、日和見菌はその時々でどちらか多い方の味方をするという特徴があります。

腟内フローラは外の雑菌から守ってくれる働きがある

腟内フローラで活躍する善玉菌は「ラクトバチルス属」の乳酸菌(=デーデルライン桿菌)が代表的な存在です。健康な成人女性の腟内ではこの善玉菌が75-95%を占めています。このように圧倒的に多い善玉菌のおかげで腟内を酸性(pH4.5以下)に保つことができます

しかし、何らかの原因で善玉菌の働きが弱まると、ガードネレラ菌を代表とする悪玉菌が一気に形勢逆転し、増えてしまいます。悪玉菌たちが増殖すると、細菌性腟症といったデリケートゾーンのかゆみや、魚がくさったようなニオイ(アミン臭といいます)を引き起こします。

つまり、腟内フローラのバランスを保っていると、腟炎や感染症の原因菌となる悪玉菌を増殖させず、外から侵入してくる雑菌や病原体が死滅する環境をつくることができ、ニオイやかゆみの予防となります。

腟内フローラを整える生活習慣についてチェックしてみましょう!

腟内フローラを整えるには善玉菌と悪玉菌のバランスが大事!

腟内フローラを整えるためには、悪玉菌を増やさないことが大切です。
女性の体の構造として腟の入り口と腸の出口がお隣同士にあるため、菌が行き来していると考えられており、腸内フローラが整うことで腟にも善玉菌が移っていくことが期待できます。

生活習慣をチェックしてみよう♪〈基本編〉

☑︎バランスの良い食事をとれている?

善玉菌を増やすための食生活は、善玉菌を含むものと善玉菌のエサとなるものを一緒に摂ってあげることが良いとされています。以下の食品を参考に食生活にとりいれてみてくださいね。

◎善玉菌を含むもの
→発酵食品:ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、ぬか漬け、チーズ、味噌、醤油、キムチなど

◎善玉菌のエサになるもの
→水溶性の食物繊維とオリゴ糖を含んだ食べ物:人参、さつまいも、大根、大豆、玉ねぎ、にんにく、牛乳、はちみつ、ごぼうなど

一方で、悪玉菌は肉類などのタンパク質をエサにし、アルカリ性の環境を好みます。肉や脂質が中心の食事は便秘になりやすく、アルカリ性である便を停滞させている状況です。つまり、肉中心の食生活は、悪玉菌にとってエサが豊富で住みやすい環境といえます。

☑︎睡眠時間を十分に確保できている?

☑︎ストレスを溜めていない?

睡眠不足や不規則な生活・ストレスによる自律神経の乱れも便秘を引き起こす要因となります。自律神経は心身の健康維持に重要な役割を果たし、ホルモンの分泌等にも大きく関係しています。
睡眠やストレス解消により自律神経が整うことは、便秘予防だけでなく間接的に腟内フローラを整えることにも繋がります。

〈腟内フローラと女性ホルモンは関係している〉

腟内にいる善玉菌はブドウ糖をエサにしていますが、腟内のブドウ糖はグリコーゲンというものから分解されています。このグリコーゲンは女性ホルモンである「エストロゲン」によって増えることが分かっています。つまり、女性ホルモンも腟内フローラを適切に保つために大きな役割を果たしてくれているのです。

女性ホルモンは、睡眠不足やストレスによる影響を受けやすく、ちょっとの生活習慣の変化でさえもバランスを崩す引き金となってしまいます。女性の一生で分泌される女性ホルモンの量はなんとティースプーン一杯程度。
たったのこれだけの量で、さまざまな症状に振り回されてしまうほど女性ホルモンと女性の体は繊細です。デリケートな私たちのからだをできるだけ守ることができる生活習慣を見つけていきたいですね。

生活習慣をチェックしてみよう♪〈デリケートゾーン編〉

☑︎デリケートゾーンを洗いすぎていない?

気になるからといって何度も洗ったり、腟の中まで洗ったり、アルカリ性の石鹸を使用するのはNG。守ってくれるはずの腟内フローラ(善玉菌)が少なくなってしまいます。
デリケートゾーンはシャワーで軽く洗い流すだけでも、常在菌の働きで十分に清潔に保たれますが、どうしても石けんを使いたいときはデリケート用のソープを使い、外側を1日1回程度、泡でやさしく洗いましょう。

また、トイレでビデを使用することで腟の中に雑菌が入り込みやすくなり、悪玉菌が増加するリスクが上がることもわかっています。

☑︎生理期間中、生理用品をこまめに交換している?

面倒くさいからといって、ナプキンやタンポンを交換しないのはNG。経血は雑菌が繁殖するための栄養が大変豊富なので、たまった血液を放置していると悪玉菌がすみやすくなってしまいます。生理用品はこまめに適切なタイミングで交換するのがとても大切です。
交換する頻度についてはコチラの記事も見てみてくださいね。

☑︎性交渉前後にシャワーを浴びている?

いい雰囲気になったからといってシャワーを浴びずに性交渉をするのはNG
外部に付着している無駄な雑菌=悪玉菌が入るのを防げるように、性交渉の前後にはしっかり手を洗い、シャワーを浴びましょう

☑︎複数のパートナーと性交渉の機会を持っていない?

☑︎(妊娠を望んでいない場合)コンドームつけてる?

常在菌の種類は人によって多種多様。複数のパートナーとの性交渉は数多くの常在菌と出会うきっかけとなり、腟内フローラのバランスを崩す確率が高まってしまいます。
デリケートゾーンのかゆみやニオイの原因となる細菌性腟症を予防するためにも、複数パートナーとの性交渉は控えた方が良いかもしれません。特定のパートナーとだけだとしても、妊娠を望んでいない場合は、コンドームをしっかりつけて、性病も他の雑菌も予防しましょう。

※細菌性腟症は性交渉がきっかけとなる場合もありますが、性交渉未経験の場合でも、疲れやストレス、睡眠不足等で免疫力が低下すると起こる可能性があります。つまり、女性であれば誰にでも可能性のある病気です。

腟内フローラの状態は専用の検査キットで確認することができる

どんな風に検査するの?

1.検査の綿棒(スワブ)を容器からひねって取り出します。
2.楽な姿勢で綿棒(スワブ)を腟内に3〜5cm(指1本分の長さぐらい)挿入します。
3.ゆっくり15秒ほどかけて3周回します。
4.7〜8分自然乾燥させて容器に戻します。
5.ポストに投函し、結果を待ちます。

おまけ

〈子宮内にもフローラがいる!?〉

最近では無菌状態と考えられていた子宮内にも常在菌がいることが分かり、研究が進められています。子宮と腟は繋がっており、腟のフローラは子宮内フローラの様子を表すとして相関関係が示されています。

腟内フローラが腟炎を防いでくれるように、子宮内のフローラは子宮内で内膜の炎症を引き起こす細菌を防いでくれているのではないかと考えられています。海外では、子宮内フローラにおいて90%以上のラクトバチルス属がいる方は妊娠率が高くなることが報告されています。

まとめ

腟内フローラはデリケートゾーンの悩みの解決だけでなく、その先の子宮や卵巣に悪い菌が入らないよう門番のような役目をしてくれています。
腟内フローラの善玉菌たちに最大限の働きを続けてもらうためには、理想的なバランスを保てるセルフケア習慣が大切です。自分自身の身体を守るためにも、自分の状態を知り、腟内フローラを意識して生活習慣を整えていきましょう。

【参照】

腸内細菌と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
性感染症 診断・治療ガイドライン2016(改訂版)|一般社団法人日本性感染症学会
細菌性腟症 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
フローラ - セントマザー産婦人科医院
腟からの病原菌侵入を阻止するエストロゲンの役割 - 世田谷区の産婦人科なら冬城産婦人科医院
Analysis of endometrial microbiota by 16S ribosomal RNA gene sequencing among infertile patients: a single-center pilot study - PubMed

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