Mieruレディースクリニック院長
柴田 あずさ先生
日本産婦人科学会産婦人科専門医。自治医科大学附属さいたま医療センター、足利赤十字病院産婦人科、自治医科大学附属病院不妊治療生殖医学センター、栃木県立がんセンター産婦人科等で勤務。
「忙しい働き盛りの女性も気軽に立ち寄ることができ、困ったときに頼れる個人サロンのような場所へ」と開業され、診療に従事。
Mieruレディースクリニック院長
柴田 あずさ先生
日本産婦人科学会産婦人科専門医。自治医科大学附属さいたま医療センター、足利赤十字病院産婦人科、自治医科大学附属病院不妊治療生殖医学センター、栃木県立がんセンター産婦人科等で勤務。
「忙しい働き盛りの女性も気軽に立ち寄ることができ、困ったときに頼れる個人サロンのような場所へ」と開業され、診療に従事。
女性の活躍がめざましく、一人ひとりが夢を持ちキャリア形成をしていく素晴らしい時代の変化がある一方で、晩婚化・晩産化が進んでいます。高度な医療技術とともに驚くような高齢出産もニュースで見かけることも多くなってきていますが、いつの時代になっても、妊娠する適齢期というのは変わっていません。
みなさんは、自分自身の体の中にある卵子のこと、どのぐらい知っているでしょうか?この記事を通して、自分自身の体について目を向けてみるきっかけにしていただけたらと思います。
卵子は、まだ生まれる前の胎児期に一生分が作られます。
生まれたときに約100~200万個あった卵子は、出生後に毎日30~40個ずつなくなっていき、月経が始まる思春期には約20~30万個、生殖期となる20代では約10~15万個になるといわれます。37~38歳ごろに2万5千個以下になると減少のスピードが早まります。
その後の十数年で1000個以下となり、50歳前後で閉経を迎えます。卵子の数は、生まれた後には減っていく一方で、新しく作られることはありません。これはひとつめの大切な知識です。
妊娠することを考えたときに卵子に焦点をあてて考えると、卵子の質と量のどちらもが重要になります。
まず「卵子の質」についてですが、現時点で質を見極めるような検査はなく、卵子の質=年齢と考えられています。現代では、若々しく、体力も十分にある方が多いですが、卵子の年齢は実年齢と同様に確実に年を重ねていきます。 生まれてから新しい卵子が作られることはないため、どうしても年齢が若い方が卵子の質、受精できる能力が高いのです。ただし、若すぎても身体が成熟できていないという側面があるため、「妊娠の適齢期」は20歳代と言われます。
では「卵子の数」についてはどうかというと、卵子の残りの数は「AMH(抗ミュラー管ホルモン)」という血液検査で知ることができます。このAMHは個人差が大きいものであり、正常・異常の判断をするためのものではなく、ご自身の年齢の平均と比べて多いのか?少ないのか?を知ることができる検査です。
卵子の残り数が多ければ妊娠できて、少なければ妊娠できないのかというと、そのように判断するものではありません。
卵子の数が少なくても、卵子の質がよければ妊娠に繋がる可能性がありますし、卵子の数が多くても、卵子の質によっては妊娠が難しいというようなことがあるわけです。ただ、在庫がほとんどない状態では、妊娠へ挑戦することの難しさがアップしてしまうので、AMHを知ることはこのさき妊娠できる期間がどのくらい長いのかを予測し、妊活をするためのステップのスピードを決めることに繋がります。
将来の妊娠を考えるにあたって、卵子の質と数の話は、ふたつめの大切な知識です。
将来妊娠を考えるにあたって重要となる卵子の知識を記載しました。妊娠する力は、日々の健康とは違って自覚する症状があるわけではないため「自分の状態は今どうなっているのか」自ら知ろうとすることが大切です。 また、遺伝や隠れている疾患、生活習慣などによっても異なりますし、年齢だけに左右されるわけではありません。
しかし、自分自身の希望に沿った身体の状態なのかそうではないのか分からないままに、「芸能人の◯◯さんが45歳で出産したニュースを見たし、自分も大丈夫だろう」と過信してしまうのは、少しキケンです。
妊娠適齢期を迎えている女性は正しく自分自身を知るために、健康診断と同様に少なくとも一度は婦人科検診(ブライダルチェックや妊孕性(にんようせい:妊娠できる力)チェック)を受けてみることが、この先どのようにライフプランを選択し築き上げていくのかにおいて、重要な指標になり得るかと思います。
ただし、もっとも大切なことは、今回お伝えした知識を持ったうえで、「産む」「産まない」は自分で決めて良い権利があることを知ることです。
妊娠したい希望があったのに、体のことを知らずに年齢を重ねたときに厳しい現実に直面するよりも、事前に知っておいて、対策やライフプランを立てることで、違った受け入れ方ができるかもしれません。
体のことについて知識があるうえで、様々な考え方や価値観で「妊娠を希望しない」というのも自分自身の権利です。 自分で納得したライフプランを謳歌できるように、正しい知識をもって、自分の状態を知り自分に適した選択肢を選び取っていきましょう。
この記事を書いた人
助産師。1992年生まれ、東京都出身。 大学卒業後、国立系の病院で5年間助産師として勤務。その後、内科のクリニックグループにて運営・新規開院、ピルオンライン診療立ち上げに携わる。現在は(株)つばめLaboにて女性の健康をサポートするためのサービス開発に従事。