32歳卵子凍結検討中。東京都の助成金について調べてみた!
東京都では2024年度に本格始動する「卵子凍結に係る費用への助成」が2023年10月より開始しました。
開始から3ヶ月経過した2024年1月には東京都の予想を大幅に越え、当初の想定の5倍にあたる7000名以上の応募があったとニュースでも取り上げられました。 「卵子凍結」「助成金」など耳にしても実際にどのように受けられるのか、もし私自身が助成を受けるなら?という視点で情報をまとめてみました。
そもそも「卵子凍結」とは?
卵子凍結とは、将来の妊娠にそなえて、卵巣の中にある卵子を採取し、凍結し、保存しておくことです。なぜ、「卵子を凍結保存しておく」という考え方があるのでしょうか?
それは、女性の妊娠できる力というのは年齢を重ねると低下してしまうということが知られているからです。 卵子の数は生まれたときに最大量で、生後に増えることはなく、減少していく一方となります。また、生まれた時の状態から卵子のもととなる細胞が新しくなることもないため、自分自身と同様に年を重ねていくのです。 卵子の質自体は、検査をする術はなく、卵子の質=年齢と考えられています。「卵子」自体を凍結することで、卵子が年を重ねるのを止めて眠らせておける、というのが卵子凍結の考えとなります。
「卵子凍結に係る費用への助成」とは?
卵子を凍結することで卵子の年齢を止めておくことは、その理由によって、医学的適応と社会的適応に分類されます。 ご病気やその治療を行うために実施する場合には「医学的適応」とされ、加齢による妊娠率の低下に備える目的で卵子凍結を行う場合には「社会的適応」とされます。
今回、東京都が助成を開始しているのは「社会的適応」に分類される理由の方です。つまり、将来妊娠をしたい気持ちはあるけど、仕事の状況やパートナーが不在である状況など健康上の問題以外の理由で卵子凍結を選択する方へ、金銭的な支援を東京都が行うことになったのです。
対象者は?
東京都に住む18歳から39歳までの女性とされています。この年齢制限は、採卵を実施した日における年齢です。
採卵を実施し助成を受けるまでには、それなりの通院ステップがありますので、採卵実施日までに40歳のお誕生日を迎える方は対象外となってしまうおそれがあります。 手順についてはのちほど詳しく記載します。
また年齢以外にも、以下の条件にすべて該当することが必要になります。
年齢以外の条件
- 都が開催する、卵子凍結の正しい知識を持っていただくための説明会へ参加すること
- 説明会への参加を申し込んだ日から都に助成金を申請する日までの間、継続して都内に住民登録をしていること
- 説明会に参加した後、都が指定する登録医療機関において採卵準備のための投薬を開始すること
- 未受精卵子の採卵又は凍結後に都が実施する調査に協力すること
- 凍結卵子の売買、譲渡その他第三者への提供はいかなる場合も行わないこと、また、海外への移送は行わないこと
- 卵子凍結後も都の実施する調査に対し、継続的に(最大5年間)回答すること
実際の手順は?
まずは、東京都が開催する説明会へ申し込みをし、参加することが第一のステップです。 こちらから申し込みができます。
適宜、メールなどでもお知らせが来るので、そのメールに従って申請手続きなどを行います。
その後の流れ
東京都が開催する説明会に参加する ↓ 調査協力申請をする *参加申し込みをした際のフォームから手続きをする ↓ 決定通知書を受領する ↓ ☆医療機関が行っている卵子凍結のセミナーなどに参加し、 それぞれの院の特徴や金額の目安を知ったり、事前に相談ができる医療機関もあるので、 利用を検討してみてください。 ↓ 登録医療機関を予約し、受診する ↓ 採卵準備(検査や投薬など)のために通院する ↓ 採卵、卵子凍結を実施する ↓ 助成金を申請する ↓ 調査への回答をする ↓ 助成金を受給する
よくある疑問のひとつとして気になる方も多いかと思いますが、医療機関や個々人の体の状態、希望する採卵数、保管料によって卵子凍結の費用は異なります。 助成金を越えた額がかかってしまう場合でも、卵子凍結自体がもともと自費診療となるため、医療費控除の対象にはなりません。
実際に説明会に参加して考えてみた!
この記事の筆者も、東京都での卵子凍結助成が始まってすぐの2023年10月、説明会に参加しました。 その後都内の医療機関が実施している「卵子凍結」のセミナーにも参加しました。 どちらの場も、その後の自分の体、将来の妊娠に向き合う真剣な女性が活発に質問などをしているのが印象的でした。
私自身は、実際には「卵子凍結をする」までは決めきれず、また考えるのを少しだけ先延ばしにしてしまっています。
卵子凍結を決断するなら1日でも早い方が良いに決まっている、数年後にもっと若いときに決断していればよかった...となるかもしれない。 だけど、「いざ妊娠しようとして結局1つも妊娠につながる卵子じゃなかったら...」「卵子何個を何年保存することになるんだろう?」「助成を受けるにしても結局大きな出費であることには変わらない」「どれだけの金額をかけられるだろう?」「もしもこのまま時が過ぎてしまったときどのタイミングで妊娠出産をしない選択をするんだろう?」「副作用の可能性や仕事の調整は?」など、考え始めるときりがない悩みが次から次と出てきてしまいます。
自分に向き合うこと、決断することは年を重ねるほど大きい振れ幅があるなと思いながら、あと半年だけ考えようと結論に至る今日この頃です。
みなさんは自分の体のこと、将来のこと、どのように決断していきますか?
【参照】
東京都福祉局事業概要この記事を書いた人
助産師。1992年生まれ、東京都出身。 大学卒業後、国立系の病院で5年間助産師として勤務。その後、内科のクリニックグループにて運営・新規開院、ピルオンライン診療立ち上げに携わる。現在は(株)つばめLaboにて女性の健康をサポートするためのサービス開発に従事。