フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
オンライン診療を利用すると、通院することなく医師の診察や薬の処方に対応してもらえます。
今回の記事では、オンライン診療と利用の流れ、便利に活用するコツについて解説します。
オンライン診療とは、インターネット上での通話機能を使い、自宅にいながら医師の診療が受けられるサービスです。パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末で、予約から診察、支払いまで、医療機関に足を運ぶことなく従来通りのサービスを利用できます。
オンライン診療には、従来の診療体制では実現できなかった、次のようなメリットもあります。
オンライン診療は、インターネット環境さえ用意できれば自宅でも受けられるため、医療機関に行く必要がありません。そのため、外出したり呼ばれるまで待ったりする手間がなくなります。
たとえば、避妊や生理不順の治療では、低用量ピルを継続的に飲む必要があります。しかし、診察や薬の受け取りのために、仕事や学校を休んで医療機関に足を運ぶことは簡単ではありません。オンライン診療は通院の移動時間や待ち時間を減らせるため、忙しい方でも治療を継続しやすくなります。
オンライン診療なら自宅で診察を受けられるため、まわりの視線を気にする必要もありません。
たとえば、避妊や生理不順は、女性にとってデリケートな悩みです。そのような背景から、「医療機関に行きたいけれど、知り合いや友人と顔を合わせてしまい、事情を知られたくない」「医師と顔を合わせて相談するのに、気が引ける」と、医療機関の受診を躊躇してしまう女性も多いようです。
プライバシーがしっかりと守られた状態で、医師に悩みの相談をして自宅でピルの受け取りをすることができます。
一般的に、24時間インターネット上での予約に対応しているため、診療時間に合わせて電話での確認をせずに済みます。
オンライン診療では、住んでいる地域だけでなく、患者側が希望する医療機関への受診もできるようになっています。
オンライン診療がなかったときは、住んでいる地域内にある最寄りの医療機関に通院していました。しかし、「引っ越したら、その地域で通院先を探さなければならない」「通院する場所が地域内に限られてしまう」などのデメリットがありました。
オンライン診療なら自宅で予約から薬の受け取りまですべての流れを完了させられるため、引っ越し先でも以前のかかりつけ医を利用することや、遠方でも希望する医療機関の診療を受けることができます。たとえば、近隣にピル処方をしてくれる医療機関がなくても、遠方なら見つかるかもしれません。
医療機関に通院すると、院内や待合室で知らない人に会う機会が多くなります。そこでインフルエンザをはじめとする感染症にかかるリスクが高いことも、否定できません。特に感染力が強く十分な医療体制が整っていない新型コロナウイルスに対しては、多くの方が院内感染を避けたいところでしょう。
オンライン診療では、ほかの患者さんと会うことがありません。そのため、感染リスクを大幅に軽減したうえで必要な医療を受けられます。
オンライン診療は、一般的に以下の流れで進められます。
①予約
医療機関のホームページまたは専用のアプリから、予約ができる日と時間を選びます。専用のアプリを利用する場合は、アプリのダウンロードを事前に済ませておきましょう。
②問診票への入力
名前や住所、気になっている症状など、診察に必要な情報を入力します。
③診察
予約した日時になったら、いよいよオンライン診療が行われます。ZOOM、LINEなどのツールやアプリ専用のビデオ通話機能など、医療機関によって使用する環境が異なるため、事前に確認しておきましょう。つながったら、まずは本人確認を行い、その後症状を説明します。
④支払い
診察が終わったらオンラインで決済をします。銀行振り込み、クレジットカード決済、コンビニエンスストアでの支払い、郵便振替、代引きなど、医療機関が指定する方法で診療にかかった料金を入金します。
⑤薬または処方箋の受け取り
院内処方の場合は、郵送で薬が送られてきます。院外処方の場合は、自分で調剤薬局に薬を取りに行く方法と、調剤薬局から薬を宅配便で送ってもらう方法から選ぶことができます。この場合は、予約時、またはオンライン診療時に医師と相談して決めた薬局から、電話で服薬指導を受けます。
すぐに薬を受け取りたい場合は、調剤薬局に薬を受け取りに行くこともできます。急がない場合は、調剤薬局から薬を宅配してもらうこともできます。その他、処方箋を郵送してもらって、自分で薬を受け取りに行くこともできますが、その場合は調剤薬局での待ち時間が発生します。
決済のタイミングや薬の処方の流れなど、医療機関によって異なる場合がありますので、詳細は各医療機関のホページをご確認ください。
オンライン診療は悩みを早く相談でき、とても役立つ手段ですが、利用にあたって注意点もあります。
初診での診療や処方に対応していない医療機関もあります。そうした医療機関では、会員登録や診察のために初回は来院が求められるため、医療機関を選ぶときには必ず事前に確認しておきましょう。
オンライン診療では、患部を触って確かめたり、聴診器等で音を聴いたりすることができません。正しく診察、処方ができるように、問診票の入力や医師の診察の際には、正確な情報提供に努めましょう。可能であれば、最近受けた健康診断や血液検査の結果を送ると、身体体の状況を知るための参考情報になります。
オンラインでの診察で医師が必要だと判断した場合、来院を求められることがあります。症状や悩みに対して適切な治療法や薬を見極めるためにも、そのような場合には医療機関を直接受診しましょう。
オンライン診療は、2018年の診療報酬改定を背景に、「患者側の日常生活の状態を知り、医療の質を向上する」「患者によってより身近な存在を目指し、必要な医療を届ける」目的のもとで始められました。コロナ禍をきっかけに、患者が院内感染や二次感染の心配をすることなく医療を受けられるメリットが注目され、オンライン診療が普及するようになりました。
もともと受診のハードルが高かった婦人科では、オンライン診療で受診しやすくなる方もでてきました。 避妊や生理不順などで医療機関を受診するとき、どうしても時間的・心理的なハードルを高く感じてしまうものです。しかし、これらの悩みは早めの対応が必要となるため、「忙しいから」「恥ずかしいから」と医師への相談を遅らせることは危険でもあります。オンライン診療は、多忙な方や心理的に通院に抵抗がある方の、避妊や生理についての相談によく利用されています。
また、近年ではオンライン診療で緊急避妊薬の処方ができるようになりました。避妊に失敗した場合に使われる緊急避妊薬は、性交渉から72時間以内に飲むことで成功率が高くなるため、早めの購入と服用が必要です。しかし、低用量ピルや緊急避妊薬は、吐き気や嘔吐、熱が出る、うつ、深刻なケースでは血栓症など、副作用が出る可能性のある薬でもあります。そのようなポイントからも、できるだけすぐに相談できるオンライン診療が、今後も必要とされていくでしょう。
オンライン診療対応の医療機関を探すには、病院・クリニックのホームページを確認するかインターネットで検索するという手段がありますが、個別のページを何度も開かなくてはなりません。もっと早く調べたい場合には専用のサイトやアプリを使うといいでしょう。
ピルモットでは、オンライン診療に対応している全国の医療機関・クリニックを公開しています。医師のインタビュー記事などのコンテンツも充実していることから、「この先生になら相談したい」「この病院なら、雰囲気が良さそう」など、予約を決める前に不安を解消することもできるでしょう。
オンライン診療なら、スケジュールやプライバシーを気にすることなく、必要な医療を受けられます。スマホやタブレットから避妊や生理不順の悩みを早くに医師に相談して解決でき、不安やストレスの少ない毎日を送れるようにもなるでしょう。ただし、すべての医療機関がオンライン診療に対応しているわけではありませんので、オンライン診療を実施しているかを事前に確認することをおすすめします。
オンライン診療検索サイトやアプリなども上手に活用し、悩みは早く解消しましょう。
【参照】
緊急避妊に係る取組について|厚生労働省この記事を書いた人
2016年より、フリーランスライターとして本格始動後、医療機関(病院・クリニック)や治療院業界(接骨院・整骨院、整体院など)、歯科医院・クリニックへのライティングと取材のお仕事に携わっております。ライティングに関しては、ウェブ上の記事やホームページ掲載記事、書籍代筆・リライトを担当してきました。
自分自身が医療・健康の記事制作を担当するなかで、健康面で多くのメリットを得られたということもあり、「医療や健康に携わる専門家の方々の代わりとなり、読者の方々が心身ともに健やかに過ごせるようなサポートにつなげたい」という思いから、病院での治療や整体、ヘルスケアなど、幅広いジャンルでのライティングに努めています。