生理不順? 病気? 迷ったらすぐ相談! 初めての産婦人科(婦人科)の選び方
頭痛や腹痛、吐き気など、生理痛の症状は軽い人から重い人まで人それぞれ。
だからこそ、つらいと感じながらも「これくらいの症状で行っていいの?」「何科で相談できるの?」と、受診するのはハードルが高いと感じる人も多いかもしれません。
今回は生理痛だけでなく、避妊、婦人科系の病気などについて相談したい場合、どのように産婦人科・婦人科を選べばいいのかをご紹介します。
産科、産婦人科、婦人科の違いとは?
女性特有の悩みや病気について調べてみると「産科」「産婦人科」「婦人科」「レディースクリニック」など、いくつも似たような名前が出てきて、いったい何科を受診すればいいのかと迷ってしまうこともあるかもしれません。
まずはじめに、産婦人科は大きく3つに分類されています。
産科妊娠や出産に関する診療
婦人科女性特有の疾患に関する診療
産婦人科妊娠や出産、女性特有の疾患に関する診察など総合的な診療
このほかに、レディースクリニックやウイメンズクリニックという名前の医療機関がありますが、こちらは名前だけでは婦人科か産科か判断できないので、ウェブサイトや電話で診察内容の確認をしておきましょう。産科、婦人科、産婦人科とも、医師はすべて産婦人科医が担当しています。
生理や身体について相談するなら「婦人科」「産婦人科」
「婦人科」「産婦人科」は、生理や子宮・卵巣の病気やPMS(月経前症候群)、性感染症、中絶、不妊、避妊、更年期障害など、女性の悩みや病気に関する相談、治療ができます。
病気や悩み以外でもピルの処方などを相談することができます。
重い生理痛や生理不順、おりものの異常、下腹部の痛み、外陰部の痛みやかゆみなど、いつもと違う症状に気がついたら、悩まず受診しましょう。
また「産婦人科」というと妊娠や出産を扱うイメージが強く、それ以外での受診はなかなかハードルが高いかもしれません。ですが、何歳であっても気になることがあれば、受診することをおすすめします。また、20歳になったら、定期的に検診を受けると病気を見つけやすくなります。
産婦人科で診てもらえる症状や悩みの例
生理に対する悩みや子宮・卵巣の病気
生理のとき時のイライラ、頭痛、腹痛、眠気、倦怠感、集中力の低下など心身の不調を感じる「PMS」や下腹部の痛みや出血、おりものの異常などは、子宮や卵巣の病気などが潜んでいる可能性があります。
ピルは避妊以外にも、生理痛を軽くしたり、生理がくるタイミングをコントロールしたり、卵巣がんなどの発祥低下などが期待できます。避妊はもちろん、さまざまな状況で処方されることがあります。
性感染症
性器やそのまわりに、かゆみ、痛み、ブツブツができるなどの異常がある、おりものや尿に異常があるなどの場合は、クラミジア、淋菌、梅毒、肝炎、トリコモナス、コンジローマやHIV等の性感染症の可能性も考えられます
中絶
さまざまな理由で、妊娠の状態を中断しなくてはいけない場合、相談が可能です。
妊娠12週未満と12〜22週未満で、受診できる医療機関、手術の方法、費用等が異なりますので、自分が診てもらうことができる状況か、かかる費用などを事前に確認しておくといいですね。人工妊娠中絶手術をできるのは母体保護法により指定された「指定医師」のみです。
アフターピル処方(緊急避妊薬)
性交渉後、避妊が十分にできずに妊娠の可能性がある場合などはアフターピル(緊急避妊薬)を処方してもらい、妊娠を避けることもできます。72時間以内に服用することで高い確率で妊娠を防げるとされています。
もし、72時間を過ぎてしまっても、試せる方法があります。なるべく早く相談をしましょう。電話相談やオンライン診療などを行っている医療機関もあります。厚生労働省のサイトに緊急避妊ができる医療機関の一覧(緊急避妊に係る取組について|厚生労働省)がありますので、こちらも参考にしてください。
避妊(ピル処方)
避妊をしたい時に、ピル(経口避妊薬)を処方してくれます。ピルには、女性ホルモンの成分が含まれており、排卵を抑制して妊娠を防ぎます。
避妊(避妊リング挿入)
T字型の器具「避妊リング」を挿入してくれます。避妊リングを子宮に挿入すると、受精卵の着床を妨げたり、精子が子宮内に侵入するのを阻止する作用があり、避妊の効果を発揮します。
不妊
妊娠を望んでいるにもかかわらず、一定期間(日本産科婦人科学会では、1年が一般的)妊娠しない場合に相談することができます。女性、男性とも不妊検査を行ったり、タイミング指導、人工授精、体外受精などの治療や相談ができます。
更年期障害
閉経の前後に現れるさまざまな症状の「更年期症状」、その中でも日常生活に支障をきたす「更年期障害」についての相談もできます。ホルモン補充療法や漢方薬などの対処を行っています。
自分にぴったりな婦人科・産婦人科の探し方のポイント
生理や妊娠については、婦人科、産婦人科に相談しますが、自分にぴったりな産婦人科の探し方について、そのポイントをご紹介します。
通いやすさ
病気やPMSの治療、ピルの処方などでは、何度か通うことになる可能性がありますので、自宅または職場や学校から近いか通り道にあると便利です。
治療方針
ウェブサイトなどにどのような考えで治療にあたるのか、薬はどのようなものを使うのかなどが明記されている医療機関が多いので、自分の希望と合うか確認しておきましょう。
女医さんを希望するかどうか
検査や治療の過程で、患部を診る、内診するなどの可能性があります。女性医師を希望する場合は事前に女性医師の診察日を調べておくとよいでしょう。
また、複数の医師がいる場合、特定の医師を希望できるかも確認しておくと安心ですよ。
費用面
初診の費用、診察料、薬の処方料や薬代など、医療機関によってかかる費用が異なるので、ウェブサイトや電話などで確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
口コミ
先生や看護師さんの人柄、院内の雰囲気を知っておくのも安心材料になります。
実際に探すときには検索サイトもおすすめ
まずは、市区町村や沿線・駅名、キーワードや医療機関の特徴で検索できるサイトで医療機関を検索してみましょう。
当サイトでは「19時以降受診可能」「女性医師在籍」「アフターピルの在庫あり」などの項目からも調べることができますので、自分の条件に合った医療機関がきっと見つかります。
内診って何?必ず受けるの?
産婦人科を調べていると、「内診」という言葉が出てくることがあるかもしれません。
「内診」はどんな時にするのでしょうか?また、どんなことをするのでしょうか? 以下では基本的な疑問にお答えします。
内診は、婦人科・産婦人科を受診した人すべてに行うものではなく、医師が必要と判断した場合に腟内を見たり、子宮の大きさやかたさ、位置などを調べるために行います。
相談内容によっては内診の必要がない場合もありますし、症状によっては問診時に相談することで、内診の代わりに超音波検査を行うこともあります。
内診の方法は、まず内診台に座ります。その後、足を開きます。手袋をつけた婦人科医が腟に指を入れて、診察します。
内診は、子宮や卵巣などの異常がないか調べる一般的な方法で、病気を見つけるのに必要な方法ですが、膣の中に指や器具が入るため、特に性交渉の経験がない場合などは、不安になったり、抵抗感を感じたりするかもしれません。
医療機関の方針や症状、相談内容によってはほかの方法を取ることもできることもありますので、不安な場合は相談してみましょう。
婦人科・産婦人科を受診するときに準備すること
婦人科・産婦人科を受診するときに必要なもの
- 健康保険証
- 基礎体温表(あれば)
- お薬手帳(なければ、薬局でもらえます)
- ナプキンやおりものシート(あれば)
婦人科や産婦人科を受診するときには健康保険証やお薬手帳はもちろん、前回の生理についてや生理周期について聞かれることがあるので、基礎体温表があるとわかりやすいですよ。
ナプキン、おりものシートは、内診や検査のときに出血する場合があるので、あると安心です。
診察時に聞かれること
- 自覚症状
- 生理周期
- 生理日数
- 最終生理日
- 妊娠歴・出産歴
- 初経年数
- 性交渉の経験 など
診察では、現在どのような症状があるのかを聞かれます。いつから、どんな症状がどれくらい続いているのか、かゆい、痛いなどの症状の説明ができるようにしておきましょう。持ち物の項目にもあったように基礎体温をつけていれば、その表やメモを持って行くと状況が伝えやすいです。
生理が何歳から始まったか、性交渉の有無など少しプライベートなことも聞かれるかもしれませんが、病気などの判断基準になりますので、正確な内容を伝えましょう!
婦人科・産婦人科に気軽に相談を
自分の身体の状況や痛みの感じ方は人と比べられるわけではないので、こんなことで相談していいのかな?と、なかなか産婦人科を受診できないかもしれません。しかし、不安なことや調子がおかしい場合は、まずは婦人科・産婦人科に相談してみましょう。
医療機関や医師とは長く付き合うことになる可能性もありますので、通いやすさに加えて、安心して診てもらえるか、信頼できるかも大切ですね。
口コミや評判を確認したり、実際に電話で問い合わせて雰囲気を確認したり、治療方針を聞いてみてもいいかもしれません。またかかる費用についても事前に確認しておくと安心です。
みなさんが自分に合った医療機関を見つけられますように。
【参照】
産科・婦人科の病気インデックス|公益社団法人 日本産科婦人科学会月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|公益社団法人 日本産科婦人科学会
緊急避妊について – 日本産婦人科医会
更年期障害|公益社団法人 日本産科婦人科学会
性感染症について教えて下さい。 – 日本産婦人科医会
人工妊娠中絶について教えてください。 – 日本産婦人科医会
不妊症|公益社団法人 日本産科婦人科学会
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この記事を書いた人
FMラジオ放送局、IT系企業での仕事人生活を経て、フリーランスライター。
生理を扱う地上波番組やがんサバイバーの女性の暮らしをサポートするアイテムに関する記事執筆、
フェムテック関連の記事の制作を担当するなど、「誰もが自分らしく輝く」ことができるような情報発信を
心がけています。そのほか、メディア媒体、企業のオウンドメディア、 企業サイトのコンテンツ制作など、
さまざまな分野のライティングに携わっています。