生理が終わらない場合、ピルは次のシートを使ってもいい?原因ごとの対処法

公開日 2021-12-27 更新日 2021-12-27

記事監修医

フィデスレディースクリニック

松本智恵子先生

滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、 大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

低用量ピルは避妊だけでなく、生理周期の調整や生理痛の軽減にも効果が期待できます。
しかし、「ピルを使ったら生理が終わらない」「いつもより生理が長い」という問題が起こり、次のシートを使い始めてもいいか不安に感じることもあるでしょう。

このような場合には、原因に合わせた対応が必要です。
今回の記事では、ピルによって生理が長引く原因をとりあげ、次のシートを飲んでもいい判断基準について解説します。

低用量ピルを飲んで生理が長引くことがある

生理イメージ画像

まず、「低用量ピルを飲むと生理が長引く」ということは、実際に起こり得ます。
この場合、ピルの副作用による『不正出血』が原因であることが多いです。

一般的に、低用量ピルは21日間飲んだ後に休薬期間が必要です。
21錠タイプのピルなら一週間ピルを飲まないことで、28錠タイプのピルなら7錠は「プラセボ(女性ホルモンが含まれていない偽薬)」を飲むことで、出血を起こす期間を設けます。このとき起こる出血を、消退出血とよびます。

通常はピルを休薬することで、消退出血が起こるのですが、休薬期間中に消退出血が見られない方もいます。ただし、全体の1%と言われるほどマイナーな症状であるため、休薬期間に消退出血がある場合が多いです。

ピルを使い始めた時期に生理が長引く場合は、ピル服用による副作用である「不正出血」の可能性が高いですが、病気、妊娠などの原因により、出血が起こっている可能性もあるので、心配な場合は医療機関で相談してみるといいですね。

以下、出血の状態や原因に合わせ、「次のシートを飲み始めてもいいか」「医療機関に行くべきか」について説明しますので、現在の状態と照らし合わせながら確認してみましょう。

次のシートに移行しても問題がないケース

生理が終わらないときに次のシートを飲んでいいケースは、以下の通りです。

ピルによる副作用

ピルによる副作用の一つとして不正出血があり、それが原因で生理が長引くことがあります。
ピルを使用している女性の約20%に起こりうる副作用ですが、服用を継続することで軽減していくことが知られています。だいたい3シートほどピルを飲み続けることで改善されるケースが多いです。

ピルによる副作用で不正出血が出ている場合でも、次のシートに移行できます。移行するときにまだ出血が止まっていなくても、飲み始めて構いません。

しかし、ピルを3ヶ月以上服用しているにも関わらず出血が長引いてしまう場合には、ピルの副作用以外に出血の原因がある可能性があります。その場合には医療機関を受診して状態を確認し、医師の判断のもとで適切な対応を考えましょう。

スケジュール通りにピルを飲めていなかった場合には、要注意

ピルによる消退出血や不正出血が見られる場合には次のシートに移行できますが、適切に服用できていた」という条件がつきます。
飲み忘れた日があった、飲む時間がいつも違う日があったなど、飲み方に問題があり、そのタイミングで性交渉があった場合には妊娠初期の出血の可能性もあります。念の為に妊娠検査薬で確認するようにしましょう。

ピルを飲む時間がずれたり、ピルの飲み忘れがあった場合には、不正出血が起こりやすいです。適切に服用できていなかったことによる不正出血の場合には、予定通りピルの服用を継続しても問題ありません。
飲み忘れが続いてしまって2週間以上出血が続く場合には、一度休薬期間を設けるようにしましょう。その場合は、追加の避妊方法を併用することが必要です。

次のシートに移行すべきではないケース

妊娠や何らかの病気が疑われる場合には、次のシートに移行せず、医療機関での診察または原因に合わせた対応が必要です。

次のシートに移行すべきでないケースは、以下の通りです。

妊娠による着床出血または不正出血

着床出血とは、妊娠初期(4週間後くらい)に見られる不正出血のことです。受精卵が子宮内膜に着床するときに、子宮内膜から出血が起こることがあります。
着床出血は1〜3日間と比較的短く、腹痛を伴うこともあるため、生理と間違えられてしまうこともあります。

ピルを服用している場合でも、100%妊娠を阻止できるわけではありません
その周期で性交渉があり、その他にも嘔気(おうき)や疲れやすいなど、妊娠を疑う症状がある場合には、妊娠検査薬で妊娠の有無を確認するようにしましょう。
妊娠検査薬で妊娠が確認された場合は、ピルの服用を中止し、産婦人科を受診しましょう。

病気による不正出血

子宮頸がん、子宮内膜症、子宮筋腫などの病気が原因で、不正出血が続くこともあります。子宮頸がんとは子宮頸部にできるがんのことです。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こるものがほとんどで、性交渉によって感染します。
不正出血がある場合には特に注意が必要ですが、症状が出ないことも多いですので、定期的に子宮頸がん検診をすることが勧められます。

子宮内膜症とは、本来子宮の内側だけに存在する子宮内膜が、卵巣や子宮の表面など子宮の内側以外の場所にできてしまう病気のことです。激しい生理痛や排便痛、性交痛が起こることでも知られています。

子宮筋腫とは、子宮にこぶのような腫瘍ができる病気です。子宮筋腫自体は良性の腫瘍ですが、腹痛や貧血症状、不正出血などを引き起こすと同時に、不妊や流産のリスクを高めてしまいまうこともあります。

病気の場合には、医療機関での診察を受けないと診断ができません。がんの場合は、ピルの服用が禁忌になります。「生理の様子が少し変になっているだけだから」と楽観せず、なるべく早くに医師に相談しましょう。

特に、以下のサインが見られるようえあれば、すぐに医療機関を受診しましょう。

  • 出血量がいつもの生理より多い
  • 強い腹痛を感じる
  • 不正出血がよく起こる
  • 出血が2週間続いている

次のシートへに移行してもいい?状態ごとへの対処法早見表

生理中の出血が長引く場合の、次のシートに移行してもいいケースとすべきでないケースについてお話ししました。
以下の表は、移行するときの判断基準をまとめたものです。出血の状態と原因、ピルの飲み方を確認し、原因に合わせた対応をしていきましょう。

出血の内容判断目安次のシート飲んでいいか備考
消退出血飲み忘れしてないOK休薬期間中の出血
-普段より出血期間が短く、出血量も少ない-ない人は1%
-飲む時間がズレた日や飲み忘れた日があるOK-
不正出血(副作用)飲み忘れしてないOK20%は起こる
3シートくらいで解消
不正出血(妊娠)性行為あった
妊娠に似た症状がある
妊娠検査薬で確認する不正出血(切迫流産など)
着床出血性行為あった
妊娠に似た症状がある
妊娠検査薬で確認する妊娠して着床出血ある人は25%
不正出血(病気)休薬期間が終わっても続く
2週間以上続く
出血の量が多い
腹痛などの異常がある
病気の可能性があり、治療や経過観察が必要なので医師に相談ピル禁忌のがんもある

まとめ

生理が終わらない原因には、以上のようなものがあります。

今回の記事にある通り、原因に合わせた対応が何よりも大切なポイントです。記事の説明や上の図で、出血の状態やピルの飲み方をしっかりと把握し、次のシートに移っていいかを判断しましょう。
ただし、自己判断に頼りすぎると、初期の妊娠と病気のサインを見逃すリスクも高くなります。少しでも心配なことがあれば医療機関を受診し、危険を未然に防ぎましょう。

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