性的同意って何?必要な理由と性的同意のとり方
「本当はしたくなかったけれど、断れずにセックスをしてしまった」
「パートナーを傷つけたくなくて、したくないとは言えない」
そんな経験のある人もいるのではないでしょうか。
近年、そうした人の心と体を守るために「性的同意」という考え方が広まってきています。
性的同意とは、簡単にいうと「お互いの同意を確認してから性行為をしよう」というもの。意思を確認せずに無理やり行われた性行為は性暴力となります。
性的同意をきちんと理解することは、パートナーとの付き合いにおいて、お互いの尊厳を守ることにつながります。
「NO」と言い出せなかったり、無意識にがまんしていると自分自身を傷つけることに他なりません。がまんをしたり、耐える必要はないのです。
本記事では、性的同意とは何かや、必要な理由についてご紹介します。あわせて、性的同意をとる方法、性被害の定義や相談場所もご紹介していきます。
性的な行動の前には必ず必要となる「性的同意」について。ぜひ多くの人に知ってほしいです。
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性的同意とは?
性的同意とは、性的な行為をする際にお互いの意思を確認すること。どちらかが「したくない」と思っていれば、相手がパートナーであっても、相手を傷つける行為となってしまいます。
「性暴力」というと、知らない人に無理やり強姦されるというイメージが強いかもしれません。しかし、相手が彼氏・彼女であっても、夫婦であっても、同意ない性行為があった場合には性暴力となります。
性行為の前に性的同意を得ることは、お互いが対等な証であり、お互いの尊厳を守ることにつながるのです。
性交同意年齢は16歳
同意のない性行為を裁くうえで、刑法では「性交同意年齢」というものが定められています。
日本の性交同意年齢は、16歳。性交同意年齢とは、性行為をしたいかどうかの判断ができるとされる年齢です。
刑法では、16歳未満に性的な行為をした場合は、同意の有無にかかわらず「不同意性交等罪」や「不同意わいせつ罪」として罰せられます。
この法改正の際に16歳未満同士の性交渉について話題にあがりましたが、相手が5歳以上年上の場合に上記した罪が成立するので、5歳差未満の場合はお互いの性的同意があれば問題はありません。
対して、16歳以上の性行為は「同意の確認」が必要となり、同意があれば罪とはみなされません※。ただし、同意がない強制的な性行為があった場合は「不同意性交等罪」となります。
(※刑法とは別に、大人が18歳未満と性的な行為をもった場合は、地方自治体で定められている青年健全育成条例により罰せられる場合があります)
法改正前は日本の性交同意年齢は13歳で、明治時代から変わらず110年以上続いていましたが、2023年6月16日の性犯罪の規定を見直した刑法改正案が参議院本会議で全会一致で可決されました。
性的同意はなぜ必要?
次に、性的同意が必要な理由をご紹介します。
性的同意が必要な理由は、一言でいうと、対等で思いやりのある関係を築くため。お互いを思いやり、大切にしあえる関係になるためには、性的同意は不可欠といえます。
加えて、女性の尊厳を守るという理由もあります。
日本では近年、女性の尊厳や心と体を守るために、性的同意の必要性が叫ばれるようになってきました。これには、女性が虐げられてきた歴史的な背景があるのです。
日本の歴史のなかで、長年、女性は男性よりも下の存在とされてきました。加えて、性をタブー視する文化もあり、無意識に女性側が我慢をするような文化・意識が根付いてしまっているといえます。
女性が我慢をするような意識をもっていては、ジェンダー平等な社会は築けません。性別に関係なく、性的同意の重要性を理解することが大切なのです。
なかには、相手に体を許してしまったことに対し、自分自身を責めてしまう方もいるでしょう。
しかし、本当に責めるべきは自分ではありません。社会的背景や、性的同意への意識の薄さが、女性たちのモヤモヤした気持ちを生み出してしまっているのです。
性的同意の意識が広まれば、より自分を大切にできる社会、時代へと変わっていくはずです。
なお、性的同意の理解がない場合、性別問わず加害者になる可能性があることをしっかり認識しておきましょう。同意を得ずに性的な行為を行った場合は、相手を傷つけることになりますよ。
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性的同意をとる方法
「したくない」と思っていても、大切な相手であるほど、実際には伝えにくいこともありますよね。
そこで次に、どう確認し、どう意思表示をすればいいのか、性的同意をとる方法についてお伝えします。
性的同意はしっかりと言葉で確認すること
まず、性的同意では明確に「したい」か「したくない」かを伝えることが大切です。夫婦だからいつでもOK、付き合っているからいつでもOKというものではありません。
また、家に行ったらOK、一緒の布団で寝たらOKというのも間違い。“一緒にお酒を飲んだらOKでしょ”と勘違いしている人もいますが、泥酔状態になった場合は意思表示などできませんから、それは性的同意をとれているとは言えません。
性的同意では、行動や状況、仕草ではなく、言葉で確認するなど明確に意思を伝え合いましょう。
断りたいときの伝え方
誘う側は、相手の意思確認をしっかりと確認しましょう。相手がしたくない場合は相手の意思を尊重しなければなりません。
誘われた側は、例えしたくないと思っていても、したくないことを伝えにくいかもしれません。その場合、理由を含めて相手が傷つかない伝え方ができるといいですよね。
「体調が悪くて今はしたくない」
「あなたのことは大好きだけど、心の準備ができていない」
など、相手を大切に思っていることを伝えたうえで、はっきりと意思を示しましょう。
もしも相手が自分の意思を聞き入れてくれない場合、対等な関係とはいえません。本当にあなたを大切にしてくれているのであれば、あなたの意思を尊重してくれるはず。
“関係が壊れるかもしれない”と不安に思うかもしれませんが、本当に大切な相手は傷つけたくないと思うのではないでしょうか。大切にしてくれない相手とは、関係性を見直したほうがいいでしょう。
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性被害に遭ったときはどうすればいい?
同意のない性行為はすべて、性暴力・性被害となります。
お酒を飲んで意識をなくしてしまったときに相手が同意なく性行為に及んだのであれば、罪を訴えることができます。
また、付き合っているパートナーであっても、あなたに性行為を強要するのであれば、それは性暴力(DV)です。
性暴力は刑法や青年健全育成条例などの法律によって裁かれますので、泣き寝入りをする必要はありません。苦しい気持ちや傷ついた心をケアしていくためにも、ひとりで抱え込まず、誰かに相談してください。
以下のように、親や身近な大人に相談できなくても、周囲の人に知られずに相談できる場所があります。
<性暴力にあったとき>
「内閣府 男女共同参画府」 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧 です。各自治体に設置されたセンターに問い合わせれば、性被害時に必要なケアをワンストップで受けられます。
※レイプ被害にあった際は、すぐに警察(110番)へ相談することをおすすめします。
<家族や親戚からの性被害を相談したい>
児童相談所全国共通ダイヤル(189番)へご相談ください。
<恋人や夫婦間の性被害>
女性の人権ホットライン(0570-070-810)
DV相談ナビ(8008番)
もしも、妊娠等の可能性がある場合は、早めに婦人科に相談することが大切です。性行為後72時間以内であれば、アフターピル(緊急避妊薬)で対処が可能です。
性被害・性暴力については以下の記事でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
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これって性暴力?判断基準のチェックリストを紹介
みなさんは、「性暴力」という言葉に対し、どのようなことをイメージしますか?性暴力というと、レイプ被害のような重大な事件をイメージしがちですが、実はもっと身近なものも含まれます。
性の話は大切なことー正しく理解し自分を守ろう
パートナーとの絆や愛情を確認できる性行為。しかし、明確な同意がなければ、どちらかが傷つく可能性があります。
性的同意が当たり前になされれば、対等な関係でお互いを大切にしていけるでしょう。
なお、性行為は妊娠や性感染症のリスクを伴う行為です。性の話はタブー視されがちですが、自分を守るためにも性的同意について正しく理解しておいてくださいね。
ピルモットでは、はじめてのセックスを応援する箱「はじめてキット」を発売しています。
セックスってどんなことをするの?などのセックスに関することから、性感染症や性的同意などの知っておきたいことをまとめた小冊子とコンドームが3つ、潤滑ゼリー2つ、何かあったときの連絡先が記載されているカードがキットの中に入っています。
お家や学校などで教わる機会が少ないセックスのこと。イラストを使っているので、読みやすいと思います。
「はじめてキット」ですが、もちろんはじめてじゃない人にも改めて知れることがあると思うので、ぜひ手に取ってもらいたいです。
【参考】
性的同意 | 性についてお悩みの方・学びたい方 | PILCON性的同意、ってなんだろう | SEXOLOGY
性交同意年齢とは?なぜ13歳?世界では…<用語解説>
一般社団法人Spring 相談先一覧 「不同意性交罪」改称し要件明確化、性交同意年齢引き上げ 改正刑法など成立 - 産経ニュース
法務省:性犯罪関係の法改正等 Q&A
「不同意性交等罪」を創設、性交同意年齢は引き上げ。改正刑法が成立、どう変わる? | ハフポスト NEWS
この記事を書いた人
三児の母・ライター。もともと教育関係の仕事に従事していたが、第三子出産を機にフリーライターとして活動開始。中学・高校の教員免許(保健体育)、幼稚園教諭免許、保育士など教育関係の資格を持つ他、メンタル心理カウンセラー資格を保持。教育や健康分野の記事執筆、絵本脚本の執筆など幅広く執筆活動を行う。
著書:「ある日突然、障害児の母となったあなたへ」