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これって性暴力?判断基準のチェックリストを紹介

公開日 2022-04-12 更新日 2022-04-12

みなさんは、「性暴力」という言葉に対し、どのようなことをイメージしますか?

性暴力というと、レイプ被害のような重大な事件をイメージしがちですが、実はもっと身近なものも含まれます。
例えば、「避妊をしてくれない」「恋人だからと性行為を強要する」など、望んでいない性的なできごとは、すべて性暴力となり得ます。

本当は「イヤだ」と感じていた性的なできごとを性暴力と認識するだけで、自分の性と人権をもっと大切にできるはず。また無意識のうちに加害者にならないためにも、性暴力の定義や範囲について正しく知っておくことが大切です。

この記事では、性暴力の定義をご紹介するとともに、具体的な性暴力の範囲として、性暴力のチェックリストをご紹介します。

性暴力は見知らぬ人だけでなく、恋人や夫婦間でも起こり得るものです。
性的なできごとにモヤモヤした経験のある方や、パートナーを大切にしたいと思う方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

性暴力とは本人が望まない性的なできごと

性暴力とは、簡単にいうと「性に対する人権侵害」を指します。

詳しくは、他者からの性的な意味合いを含んだ働きかけに対して、性的自己決定権を発揮できずに心身やセクシュアリティー、ジェンダーを脅かされたと感じたできごとと定義されています。
この考えでは、「性的な関係をもつかもたないかはすべて自分で決められる」という性的な意味での決定権・人権が根底にあります。つまり、性的なできごとを相手に強要されることは人権侵害となり、その行為は性暴力となるのです。

ここでいう「性的なできごと」とは、性行為そのものだけではありません。性的な言葉をかける同意なく相手の体を触る女性を下等とみなして脅したり威圧したりする性的にからかうなどの行為も性暴力となり得ます。

性暴力を受ける対象は女性だけでなく、すべての性別の人が対象となり得ます。ときには子どもが性暴力を受けることもあります。
性暴力の種類としては、レイプや痴漢、セクハラのほか、恋人や夫婦などパートナー間のDVなどがありますが、性的に「イヤだな」と感じる行為はすべて性暴力にあたります。

性暴力が生じる理由

性暴力が生じる理由として、男女の体格差などのほか、思想や社会通念の影響があげられます。

冒頭でもご紹介したとおり、日本では性暴力の認識が浅い傾向にあります。加害者側も被害者側も、その行為が性暴力だと認識できずに見過ごされてしまうのです。
こうした性暴力が無意識に黙認されてしまう背景には、歴史的な男女格差が関係しています。日本もそうですが、国によっては「女性は男性よりも下の存在」といった意識が深く根付いてしまっているのです。

このような思想や社会通念によって、無意識に「女性は男性に従うべき」といった、ジェンダーギャップの考えが浸透し、性暴力を「仕方のないもの」などと捉えてしまうのです。

このような性差が当たり前になっていると、パートナー間での性暴力などは特に見過ごされがちになります。
したくないのに性行為を強要される」「避妊に協力してくれない」などの行為は、すべて性暴力です。しかし、根底にジェンダーギャップの考えがあると、それを「性暴力を受けている」と認識せず「仕方ない」と思ってしまうのです。

こうした考えを変えるためには、社会全体でジェンダーギャップに「気づく」ことと、一人ひとりが性暴力への正しい認識をもつことが大切といえるでしょう。

パートナーにこんなことをされていませんか?

ここまでご紹介してきたように、性暴力は恋人や夫婦などのパートナー間でも起こり得ます(夫婦間の性暴力を「性的DV」、恋人間の性暴力を含むDVを「デートDV」といいます)。

このようなパートナー間では、自分が性暴力を受けている自覚をもたない方も多いです。
実際に、パートナー間の「性暴力」といわれても、具体的にイメージできない方も多いのではないでしょうか? そこで、以下に性暴力のチェックリストをご紹介します。

〈性暴力のチェックリスト〉

  • 無理やりキスをしたり体を触ったりする
  • 性行為を強要する
  • アブノーマルな行為を強要する
  • 妊娠したくないのに避妊してくれない
  • 見たくないのに性行為の動画を見せる
  • 裸の写真や動画を送らないと別れるなどと脅される
  • 同意していないのに性行為を撮影する
  • 中絶しろと強要する

上記にあげていない事柄でも、あなたが性的に「イヤだな」と感じるできごとがあれば、それは性暴力といえます。

本当に相手を好きなら、相手の意思や権利を尊重しなければなりません。しかし、一歩間違えると愛情は束縛や強要に変わり、相手を傷つける行為となってしまうのです。

もしも、上記のチェック項目にひとつでも当てはまる場合、関係性を見直したほうがいいかもしれません。パートナーと性暴力への認識を改めて理解し直すとともに、あなた自身も「本当はイヤ」という自分の気持ちをしっかり伝えるようにしてくださいね。

たとえパートナー間であっても、性行為にはお互いの性的同意が必要です。
性行為における性的同意の必要性については、以下の記事も参考にしてくださいね。

パートナー以外からの性暴力

性暴力はパートナー以外からも受ける可能性があります。日本には性暴力を裁く法律があり、場合によっては相手を訴えることも可能です。
泣き寝入りで諦めてしまわないよう、性暴力の種類や相談先を知っておきましょう。

以下に、主な性暴力の種類をご紹介します(相談先については次章でご紹介します)。

【性犯罪】
痴漢、強姦(レイプ)、子どもへの性的な行為、のぞき、盗撮、ストーカー、リベンジポルノなどは性犯罪にあたります。性犯罪は各種法律により罰せられます。

【性的搾取】
売春やAV出演を強要するなど、金銭目的のために子どもなどの性を売り物にすることを、性的搾取といいます。18歳以下の子どもを性の対象とする行為は、児童売春・児童ポルノ禁止法により罰せられます。

【性的虐待】
子どもにわいせつな行為をさせる、することは性的虐待にあたります。性的虐待が疑われる場合は、すみやかに児童相談所に報告する必要があります。

【セクハラ】
セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)とは、性的な嫌がらせのことをいいます。同意なく体に触れる、性的な話をする、異性に対して性別を理由に圧力をかけるといった行為はセクハラにあたります。

困ったときはすぐに相談しよう

性暴力を受けて困っているときは、諦めたり泣き寝入りしたりせずに、周囲に相談することが大切です。
とはいえ、性的な悩みは身近な人には相談しにくいものですよね。

性暴力は種類に応じて、誰にもバレずに相談できる相談場所が用意されていますので、困ったときはそうした場所に相談するといいでしょう。

以下に、主な相談先をご紹介します。

【性犯罪に遭ったときの相談場所】
レイプなどの被害に遭ったときは、なるべく早く警察(110番)に相談することをおすすめします。

なお、警察や病院、児童相談所などへの引き継ぎや手続きがスムーズにできる場所として、ワンストップ支援センター(#8891)があります。
県や自治体にワンストップ支援センターが設置されている場合はそちらに相談するのもおすすめです。

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧 | 内閣府男女共同参画局

【性的DV(夫婦間)の相談先】
夫婦間のDVは、地域の配偶者暴力相談支援センターや、内閣府のDV相談ナビ、警察の相談窓口など相談先が多く設けられています。

配偶者暴力相談支援センター | 内閣府男女共同参画局
DV相談について | 内閣府男女共同参画局

【デートDV(恋人間)の相談先】
恋人間のDV相談窓口としては、NPO法人エンパワメントかながわ主催の以下サイトがあります。

デートDV110番|恋人間の悩みに関する無料相談|フリーダイヤル

【性的虐待の相談先】
性的虐待が疑われる場合は、お住まいの地域の児童相談所に相談してください。

全国児童相談所一覧|厚生労働省

【セクハラの相談先】
職場でセクハラに遭ったときは、会社に相談することが大切です。それでも改善しない場合、外部の相談窓口もあります。

法務省:女性の人権ホットライン
総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

性暴力の基準を知って自分を守ろう

あなたが性的にイヤだと感じたできごとは、性暴力といえます。性暴力は人権を侵害する行為であり、あなた自身が傷つけられていることに気づかなければなりません。

「このくらいなら我慢したほうが……」などと思わず、自分の本当の気持ちを大切にしてくださいね。
性に関連する行為はお互いの同意のうえでなされるべきであり、性への決定権はその人自身にあります。このことを認識することで、より自分やパートナーを大切にしていけますよ。

もしも性暴力を受けた場合には、ひとりで悩まず、ご紹介した相談場所へ相談してみてくださいね。

【参考】

性暴力 | 性についてお悩みの方・学びたい方 | PILCON
刑罰の内容(特別刑法犯罪)/刑事告訴・告発支援センター
ご相談はこちら | 内閣府男女共同参画局
性暴力、デートDV | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修

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