フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
職場で毎年受ける健康診断や自治体による検診の案内で、婦人科検診を目にしたことはありませんか?
10~20代の若さでも、検査で乳がんや子宮がんなどの病気や不妊症が見つかることがあります。性交渉の未経験の方でも安心して婦人科検診が受けられるように、検査の内容や必要性、注意するポイントなどをご紹介します。
婦人科検診では、乳腺や子宮、卵巣などに生じる女性特有の疾患を早期発見するために検査が行われます。
今は20代など若い世代でも子宮頸がんが増加しています。子宮頸がん(子宮頸部異形成)や子宮筋腫、卵巣のう腫などの婦人科疾患は初期の段階では無症状なので、知らないうちに進行してしまうケースもあります。若くても子宮や卵巣の異常は起こりうるので、定期的に検診を受けましょう。
ここでは、婦人科の検査を受けるのは初めてで、どんなことをされるのか分からなくて怖いという方のために、主に20歳以上の方を対象に自治体で行われる子宮頸がん検診、職場で受ける可能性がある婦人科検診の検査内容について、ご紹介します。
医療機関などを受診する際の問診と同じで、住所や生年月日などの個人情報や身長体重、生活習慣に加えて婦人科の診察に必要な項目がプラスされます。たとえば、生理周期(最終生理日や生理痛などの症状)、性交渉や妊娠・出産経験の有無などを問診表に記載して医師の診察を受けます。
内診は医師が膣の中に指を挿入し、反対の手でお腹側から子宮や卵巣を挟み込むようにして触って、子宮や卵巣の腫れや異常をチェックする検査です。検査には専用の診察台(内診台)を使い、内診および必要な検査が行われます。
内診の流れ
1.下半身の着衣を脱いで内診台に座る
ズボンと下着を脱いで座ります。スカートやブラウス、靴下は脱がなくてもいいですが、腰のあたりまでまくり上げておきましょう。
2.内診台が上昇し、開脚の姿勢になる
医師や看護師の操作によって内診台が上昇し、台が上昇するとともに仰向けになり開脚した状態になります。このままの姿勢で内診を行います。
3.内診、そのほかの検査
内診をした後に、そのまま続いて子宮頸部の視診(クスコといわれる金属製の器具を挿入)、細胞診検査なども一緒に受けます。
4.内診台の下降
検査が終わったら上昇したときと逆の動きで台が下がります。転落の危険もあるため、完全に動きが止まるまではそのまま動かないようにしましょう。
5.着衣を整えて終了
台から降りたら、ゆっくりと起き上がり、陰部を拭いたり着衣をしたりして終了です。
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企業には法律で雇用している労働者に対して毎年、健康診断をすることが義務づけられています。
企業が実施しなければならない健康診断の項目は診察、血液検査、X線、尿検査、心電図等の一般的なものですが、女性が多い職場などでは、独自に婦人科検診を実施している企業もあります。職場で行われる検診にはどのようなものがあるか見てみましょう。
婦人科検診で行う細胞診は、子宮頸部又は子宮内膜の細胞をこすって取り、顕微鏡で異常な細胞がないか調べる検査です。
子宮内膜の検査には子宮内に専用の細い器具を挿入しますが、細胞採取のときに痛みや出血を伴うことがあります。検査の方法は上でご紹介した内診と同じ方法です。
レントゲンで乳房をチェックする検査です。
乳房を強く挟んで薄くした状態で撮影するため、授乳中で乳腺が張っている場合は正確な診断ができなくなるため、通常は超音波検査が勧められます。
妊娠中でも受けることはできますが、X線を使用することから胎児もX線を受けることがあります。線量が少ないので胎児への影響は少ないと考えられますが、不必要な被爆を避けるためにも、超音波検査が勧められます。
職場で実施されている婦人科検診は女性職員全員を対象としている場合もありますし、希望者のみを対象として行われることもあります。自分で選ぶ場合、どの検査を受けたらいいか迷ってしまう方もいるかもしれません。
年齢や生活習慣、生理周期や妊娠・出産などによって発症しやすい病気は異なるため、必要な検査は人それぞれ違います。
性交渉のある人は性感染症や子宮頸がんのリスクが高くなることが分かっていて、厚生労働省では子宮頸がん検診を20歳以上から2年に一度受けるよう推奨しています。
性交渉未経験者はリスクが低いため、必ずしも子宮頸がん検診を受ける必要はありませんが、子宮頸がんについては一部に性交渉の有無とは関係なく発症するタイプがあります。器具や指の挿入に抵抗がある方もいるかもしれませんが、同じように感じる女性も多いので、診察方法については申し出れば一定の配慮をしてもらえるはずです。
今、何か気になる症状がある場合には、健康診断を待たず、医療機関を受診することが勧められます。
子宮頸がん(子宮頸部異形成)や子宮筋腫、卵巣のう腫などの婦人科疾患は、症状がないため気づかないことが多いです。そのため、自分は健康だと思っている方も定期的に婦人科検診を受けることをお勧めします。診断の結果、追加の検査や診療をすすめられた場合は職場や自宅近くの医療機関を探して受診しましょう。
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問診表には性交渉の経験について記載するところがあります。この情報をもとに内診方法を変えたり、内診をしないという選択もできるからです。
20代、30代と年齢を重ねるにつれて、未経験なことを恥ずかしいと思っている方もいるかもしれませんが、30代のセックス未経験は3人に1人といわれています。
検診の際には性交渉の有無で検診の方法や内容を変えることもあるため、恥ずかしがらずに本当のことを伝えましょう。
内診をする際にはついつい緊張してしまいますが、力が入ると膣の筋肉が収縮して痛みを感じやすくなります。できるだけ気持ちをリラックスさせましょう。腰やお尻は内診台にしっかりとつけて、足全体の力を抜いて体が浮かないようにします。
あまりいろいろと考えずに、ゆっくりと深呼吸をしてお腹から息をフ―ッと吐くようにすると力が抜けやすいです。
また、婦人科検診ではブラジャーをはずしたり、ショーツを脱いで受ける検査があります。着脱しやすい下着を選びましょう。
検査着がない可能性もふまえて、ブラウスやスカートなど上下に分かれるゆったりめの服装にしておけば更衣の際もスムースです。
もし検診の日が生理中でも、出血量が少なければ問題ありません。
生理でなくても、内診の後は出血する可能性があるため小さめのナプキンをセットしておくと安心ですね。
どうしても検診を受けるのが恥ずかしいと感じてしまうのであれば、女性のみで受けられる「レディースデー」や「女性専用フロア」、医師や検査技師を全員女性にしている施設もあります。予約の前に確認しておくのも良いでしょう。
自費で行う人間ドックだと7万円程度かかるところ、会社で用意された検診(基本セット)があれば会社や健康保険組合が負担してくれるため、自己負担なしで受けられます。ただし、オプションを選ぶとかかった費用は全額自費です。
自治体によっては、30代から1年に一度の間隔で子宮がん、乳がん検診が無料や一部自己負担で受けられる案内が郵便で届きます。事前に案内を確認しておけば、少ない負担で受けられるかもしれません。
婦人科疾患は生理出血以外にはあまり症状を感じられないことが多く、恥ずかしさから検診を避けてしまいがちです。
10代では月経不順や性感染症、20代では子宮内膜症や不妊、卵巣嚢腫が検診でよく見つかっています。20~30代では子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)も増えてきます。
また、性交渉が未経験であっても、婦人科疾患にかかるリスクは十分あります。気づかずに病気が進行してしまうことがないよう、若いうちから定期的な検診を受けましょう。
参考
婦人科検診 | キッセイ薬品工業株式会社この記事を見ている人にオススメ
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この記事を書いた人
美容医療に関する記事の執筆や監修を手がけている。
総合病院で婦人科や外科系病棟で勤務し、多くの経験を積むも出産・育児のため退職。訪問看護ステーションと美容皮膚科・形成外科クリニックとのダブルワークを経て、5人目の出産を機に看護師の資格と経験を活かして美容・医療ライターとして活動の幅を広げている。
【実績】
・医療・美容・健康系から子育てまで多数の分野で執筆
・男性美容メディア「BiDAN」で美容の専門家に認定
・マイナビ「おすすめナビ」のエキスパートに認定
・脱毛サイト「ダツモウ.com」の監修者
・男性美容メディア「DAN LEAD」の記事監修
・子育て相談サイト「子育て相談ドットコム」では豊富な経験からQ&Aに回答中