フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
フィデスレディースクリニック
松本智恵子先生
滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、
大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。
意図しない妊娠を避けるための、最後の手段ともいえるアフターピル。万が一の失敗を起こさないようにも、飲むタイミングをきちんと守りたいものですよね。
とはいえ、「時間が遅れたらどうしよう」「すぐにピルを処方してもらえるの?」など、不安材料が残ることもあるでしょう。
そこで今回の記事では、ピルを飲むのに理想的な時間やできるだけ早く処方してもらうための方法、遅れた場合の対処法などについて解説します。
まず、アフターピルとは、妊娠の成立を避けるための薬です。
妊娠を成立させるためには、射精と排卵、受精、受精卵の発育、受精卵の着床、着床してからの胚(はい)の発達など、さまざまなプロセスが必要になります。アフターピルでは、これらのプロセスを薬の力で妨げ、妊娠をさけられるような状態に整えます。
たとえば、排卵前では排卵を遅らせて受精を難しくし、排卵後では受精卵の着床を防ぎ、意図的に妊娠の失敗につなげます。
もちろん低用量ピルやコンドームの使用によって妊娠を避けられることもありますが、これらの手段で妊娠が完全に避けられるとは言い切れません。だからこそ、万が一避妊ができなかったときに備え、アフターピルが必要になるのです。
アフターピルには、「ノルレボ」「エラワン」を用いる方法と「ヤッペ法」の3種類があり、医療機関を受診すれば処方してもらえます。ただし、処方できるピルは病院・クリニックによって異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
現在の日本ではもっとも普及率が高いアフターピルです。排卵や着床を阻止することで、避妊することができます。避妊に成功する確率が高く、アフターピルの使用で不安視される副作用も出にくいとされています。
排卵や着床を阻止する働きを持つピルです。アメリカやヨーロッパなどの海外ではドラッグストアで購入できるほど広まっていますが、日本では緊急避妊目的では承認されていません。しかし、医療機関によってはエラワンを用意しているところもあります。
アフターピルのなかでも、もっとも古くから使われているタイプ方法です。中用量ピルのプラノバールを使用します。比較的安価で処方してもらえますが、ほかのピルよりも避妊の成功確率が低く、また副作用も出やすいです。
避妊に成功したかどうかは、次の生理がくるかどうかがキーポイントです。次の月に生理がきたら、避妊に成功できたと考えられます。
アフターピルを飲むと「普段の周期よりも生理が早くくる」とも言われていますが、すべてのケースにおいて早まるわけではありません。次の月に生理がくれば避妊ができているサインととらえられますので、生理の予定日までは落ち着いて待ちましょう。
ただし、予定日から10日以上たっても生理がおこらない場合は、避妊に失敗した可能性が考えられます。このような場合にはなるべく早く妊娠検査薬を使用してみて、意図しない妊娠が判明した場合には早めに医療機関を受診するようにしましょう。
意図しない妊娠を確実にさけるには、アフターピルを早めに飲む必要があります。
ノルレボを使用する場合は、性交渉をしてから72時間(3日)以内、エラワンを使用する場合は性交渉をしてから〜120時間(5日)以内に服用することが勧められています。
しかし、ノルレボを使用する場合なるべく高確率で避妊に成功するには、72時間(3日)以内であっても、できるだけ避妊の失敗から時間が経過していないタイミングで飲むことが理想です。
例えば、ノルレボで避妊をおこなう場合、72時間(3日)を超えても効果が全くないわけではありません。
ただし、72時間(3日)を超えると避妊の成功率がかなり下がります。72時間(3日)を超える場合には、エラワンなど、他の選択肢を考慮したほうが良いでしょう。
こうして考えると、アフターピルを飲むのは早ければ早いほど良いといえるでしょう。
市販での購入を検討されている方も多いかもしれませんが、2021年10月現在では市販でアフターピルは販売されていないため、医療機関で処方してもらう流れとなります。だからこそ、早めの受診が必要です。
「医療機関を受診する時間がない」「医師と話すのが恥ずかしく、なかなか行く気になれない」など、時間的・心理的な問題を抱えている場合には、オンライン診療を活用してみましょう。
オンライン診療では、自宅でスマートフォンやタブレットを使い、ビデオ通話や電話機能で診療を受けられます。現在では多くの医療機関がオンライン診療を始め、診察はもちろん薬の処方にも対応するようになりました。アフターピルの処方も、オンライン診療でしてもらえます。
ただし、医療機関によっては初診でのオンライン診療に対応していないことがあるため、受診前に医療機関のホームページを見たり、電話で確認するなどしましょう。
アフターピルを飲むタイミングが避妊の失敗から120時間(5日)を過ぎたら、効果が落ちることは避けられなくなります。仕事や用事など、時間的な都合があったとしても、できる限り時間を調整することを考えましょう。
ノルレボを使用する場合、飲むタイミングは性交渉から72時間(3日)以内が適切とされていますが、エラワンの場合は120時間(5日)以内でも避妊の成功率が高いです。
日本では緊急避妊目的では未承認のピルですが、取り扱いのあるクリニックもあるため、使用を考えてみるのもいいでしょう。
アフターピルを飲むと、場合によって吐き気や頭痛などの副作用が出ることがあります。ほとんどの場合は1日で軽減しますが、吐き気がでた場合にはピルを吐いてしまい、ピルの成分が体内に吸収されないリスクもあります。そうすると避妊が難しくなるため、吐き気があってもなるべく嘔吐を避け、ピルを飲むタイミングにズレがないように気をつけなければなりません。
アフターピルの副作用がでる場合には、医療機関に相談しましょう。吐き気止めの使用をはじめとする、副作用がある場合の対処法について教えてもらうことで、精神的な不安の解消にもつなげられるためです。
普段から避妊に気をつけていても、性交渉時にコンドームを使用していても、妊娠してしまうときがあります。意図しない妊娠を避けるために、アフターピルは非常に役立つ手段であり、最終手段でもあります。
だからこそ、早い段階からアフターピルを処方してもらい、適切なタイミングで飲むことが大切なポイントです。
72時間(3日)以内に飲むこと、万が一遅れた場合の手段を知っておくことで、妊娠を避けられるようにしましょう。
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【参考】
アフターピルはいつまでに飲めばいいの? | プライベートクリニック高田馬場 | プライベートクリニック高田馬場この記事を書いた人
2016年より、フリーランスライターとして本格始動後、医療機関(病院・クリニック)や治療院業界(接骨院・整骨院、整体院など)、歯科医院・クリニックへのライティングと取材のお仕事に携わっております。ライティングに関しては、ウェブ上の記事やホームページ掲載記事、書籍代筆・リライトを担当してきました。
自分自身が医療・健康の記事制作を担当するなかで、健康面で多くのメリットを得られたということもあり、「医療や健康に携わる専門家の方々の代わりとなり、読者の方々が心身ともに健やかに過ごせるようなサポートにつなげたい」という思いから、病院での治療や整体、ヘルスケアなど、幅広いジャンルでのライティングに努めています。