生理中にピルが必要になったら?初診で処方してもらえるケースともらえないケース

公開日 2022-01-14 更新日 2022-01-14

記事監修医

フィデスレディースクリニック

松本智恵子先生

滋賀医科大学卒業。京都大学医学部婦人科学産科学教室に入局後、 大津赤十字病院、洛和会音羽病院などを経て、フィデスレディースクリニックで勤務。
産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

生理痛が辛いとき、生理不順を改善したいとき、または避妊を考えているときに役立つ低用量ピル。状況によってはすぐにでも処方してほしいところですが、初診当日に生理がきてしまうというハプニングが起こることもあります。
そのようなとき、「出血で検査結果がわかりにくくなるから、婦人科で医師に断られるかもしれない」と、受診を迷う方も少なくないかもしれません。

生理中に初診で低用量ピルを処方してもらえるかどうかは、そのときの状態によって変わります。
そこで今回の記事では、生理中でもピルを処方できるケースと難しいケースについての目安をお伝えします。

低用量ピルを処方してもらえるケース

生理中でも初診で低用量ピルを処方してもらえるケースは、体に異常が見られないケースです。その判断は、医師による問診や検査の結果で決まります。

低用量ピルを処方するときには、

  • 前の月の生理がいつごろか
  • 薬を服用しているか
  • アレルギーがないか
  • 現在、治療中の病気があるか

などを問診で聞かれます。合わせて、身長と体重、血圧なども測定します。

これらのデータで体に異常がないと判断されれば、低用量ピルの処方で問題が起こることはほとんど考えられません。
したがって、生理中でも初診で低用量ピルを処方してもらうこと自体は、十分に可能です。

生理の移動に使われるピル、アフターピルの処方もしてもらえる

生理の日をずらしたいときに飲むピル、避妊に失敗したときの最終手段として使うアフターピルも、生理中でも初診で処方してもらえます。

生理の移動に使われるピルは内診が必要ないこと、アフターピルでは緊急性が高いという理由が関係しています。

低用量ピルを処方してもらえないケース

一方、体に何らかの異常が見られる場合には、ピルを処方してもらえないケースもあります。

ピルを処方する以前に「どのような異常が起こっているのか?」「その状態を解決するには、どのような治療をするべきか?」など、状態に対しての検査や治療が必要になるためです。

特に、生理痛や出血がいつもより目立つときには低用量ピルを処方してもらいたいところですが、専門的な対応が不可欠な重い病気が隠れている可能性が考えられます。

以下のパターンでは、ピルを処方してもらえないことがあります。

体に異常があるケース

子宮組織にできる良性腫瘍である子宮筋腫、子宮の内側以外の場所で内膜が育つ子宮内膜症のサインがみられる場合には、その治療のためにピルが処方される可能性はあります。ただ必ず処方されるわけではありません。
大きすぎる子宮筋腫や、子宮内膜症性の大きな卵巣腫瘍がある場合には、手術などの他の選択肢が提示される場合もあり、ピルを使用するかどうかの判断は医師によって決められるからです。

生理痛の重さや経血の量が目立つ場合には、子宮筋腫や子宮内膜症が関係するケースが多いです。
ただし、このような症状が目立っていても、婦人科を受診し、医師からの診断を受けることは十分に可能です。生理痛の重さや経血の多さは生理中でなければ確認できないことであるため、症状が目立つときに医療機関に相談することがすすめられています。

  • 生理痛が重く出ている
  • 経血の量が多い、または少ない
  • 経血の色がいつもと違って濃い、または薄い
  • 経血のなかに血の塊が多くある
  • 生理中でもないのに出血がある(不正出血)

以上のような状態に心当たりがあるのなら、生理中でも婦人科を受診しましょう。
低用量ピルを処方してもらえるかは、検査結果と医師の判断に任せられますが、病気の早期発見と治療のためにも医療機関の受診は必要です。

内診が必要となる場合には、検査を断られるケースもある

生理中でないと確認することが難しい症状では、受診をすすめられることがありますが、その反対のケースもあります。

婦人科の内診では、膣のなかに器具や指を入れ、異常の有無を確認します。場合によっては超音波によるエコー検査のみで、内診が行われないケースもありますが、その判断は医療機関の対応によって変わります。
検査の結果によっては、ピルの処方ができない場合もありますが、少しでも異常を感じているのなら早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

体に何らかの異常が見られる場合には、生理中かつ初診での低用量ピルの処方はしてもらえません。
特に手術適応の子宮筋腫や子宮内膜症が発見されたら、ピルの処方は適さないと判断され、ケースに応じた検査と治療が必要になります。

ピルを飲んではいけない人もいる

体質や病気の状態により、低用量ピルの服用が適さないと判断されるケースも少なくありません。

低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン』によると、重症高血圧血管病変を伴う糖尿病重篤な肝障害などの持病がみられる場合のピルの処方は禁じられています。
乳がんや血栓症が起こりやすい病気がある場合や、妊娠中や授乳中の場合でも同様です。またガイドラインでは、喫煙の習慣がある方や肥満の方、糖尿病、てんかんなどの病気がみられる方には、ピルの処方を慎重に行うべきだと定めています。

しかし、ピルが禁忌とされる方の場合でも、医療機関を受診しましょう。低用量ピルでなくとも別の治療法を考えてもらい、症状を緩和させることはできます。

受診前には必ず医療機関に相談しましょう

以上の解説からわかるように、初診の場合、低用量ピルを処方してもらえるかもらえないかは症状や状態によって変わります。
もし、持病があってピルの処方してもらえるか自分で判断できない場合は、医療機関に相談してみましょう。

病気の早期発見と早期治療を可能にするためにも「禁忌かもしれないからピルを処方してもらえなさそう」と受診を取りやめにせず、気になる症状がある場合は、必要な検査を受けるようにしましょう。

オンライン診療を利用するなら、初診でのピル処方はできないこともある

最近では婦人科でもオンライン診療の普及が進み、低用量ピルを処方する医療機関が増えていますが、初診ではオンラインに対応していないところも多いです。通院して必要な検査をした後、医師の確認と判断のもとでピルがオンライン処方されます。

したがって、オンライン診療を利用するなら、初診でのピルの処方が可能かどうかを確認しておくと安心ですね。

まとめ

生理中、そして初診で低用量ピルを処方してもらえるかどうかは、生理の状態や病気の有無によって分かれます。
「生理中では受診できない」ということはありませんが、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が見られる場合には、低用量ピルの処方はできなくなることがあります。さらに、オンライン診療では基本的に、初診でのピル処方に対応していない医療機関が多い傾向にあります。

いずれにしても、「せっかく受診したのにピルを処方してもらえなかった」というトラブルを避けるためにも、また病気の進行を未然に防ぐためにも、受診する側の事前知識と確認は必要です。
受診前に自分が禁忌に該当しないかどうかを確認したり、持病がある場合は主治医に確認しておくようにしましょう。

【参考】

低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)|日本産婦人科学会編
低用量ピル | 新宿駅前さくらレディースクリニック公式
低用量ピルは内診なしで処方してもらえますか? | よくある質問 | 東淀川・淡路・婦人科・産科【ヒロレディースクリニック】
ピル 初めての方へ|さくらクリニック武蔵小杉内科|土曜 日曜祝日も診療
【内診とは】痛みや出血が不安な方へ|生理中の婦人科受診と検診について【公式】大阪にある心斎橋駅前婦人科クリニック

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